公共経済学−受講者へ−


      公共経済学とは...

 公共事業、環境政策、年金問題、医療制度改革...。今日私たちが直面するこれらの諸問題を解決するために、政府はどのような政策を遂行していくべきなのか。これは、公共経済学が取り組むべきテーマの一つです。公共経済学ではまず、政府が役割を担うべき公的部門とは何かを明らかにした上で、とるべき政策を考えていくことを目的にしています。しかしながら、今日の経済社会においては、国や自治体が担うべき役割について十分な検討がなされないまま、不必要な部門にまで公的な介入がおよぶ事例が少なからず見受けられます。このような政府による経済への過剰な介入は、我々国民全体の利益を損なう結果になることが知られています。もはや政府は常に正しい行動をとるのだという前提で議論をするこれまでのスタイルは、あまりにナイーヴだということが言えます。それゆえに、公共経済学は新たな役割を求められるようになりました。その役割とは、国民全体の利益を顧みない政府を前提として、政府の役割やそのあり方を研究すべきであるというものです。これは、今日わが国が取り組まなければならない構造改革と密接に関連している重要なテーマでもあるのです。■

     

      履修する際には...

 「公共経済学」の講義は、ミクロ経済学の基礎的な知識を前提として進められます。従いまして、履修をするかしないか決定する際には、自分が過去に「ミクロ経済学」や他の経済学の講義をしっかりと履修したかどうかを考慮に入れてください。特に、経済学科以外の学生は経済学の基礎的な知識を持たないで、時間が空いているからというだけで履修をする人が多いようです。経済学は極めて体系化された学問であるために、公共経済学のような応用的分野を学ぶには、ある程度の基礎が必要なのです。この点をしっかり認識して履修してください。
 試験に先立って配布される問題集は、きちんと自分自身の力で解くようにして下さい。また、授業もしっかり出席して内容の理解に努めて下さい。くれぐれも、他人任せにしないように気を付けてください。  より詳しいシラバスと参考文献は、こちらで確認できます。■

     

      講義の進め方について...

 講義は基本的に、MS PowerPointで作成したスライドをプロジェクターを使ってスクリーンに映し出し、それを基に解説を加えながら進めていきます。練習問題の解答や補足的説明などで、黒板を使うこともあります。教科書は使用しませんので、スライドと黒板の情報はかなりの量になると思います。したがって、本講を毎回最後まで出席してノートをとると、2冊くらい消費することになるでしょう。
 過去の経験から、スライドの進行が速かったり見えづらかったりでノートが取れない、また、ノートを取るのに忙しくて、説明がゆっくり聞けないという人が出てくることが予想されます。他方で、それらの人のために、あまりにゆっくりと進行しても、中には退屈をして眠くなるという人もいるでしょう。従いまして、スライドの原稿をPDFファイルにしてダウンロードできるようにしておきます。ダウンロードサイトはこちらです。後期開講までサンプルを数ページ載せておきます。
 もちろん、ダウンロードするかしないかは、各自の自由です。授業のスピードは、原稿を持っておらず、書き取りのスピードが平均的な人に合わせて進めていくつもりでいます。ノートをとる時間は十分にとるつもりですが、それでも間に合わない人はダウンロードしてから授業に臨んでください。例年、大半の出席者はダウンロードしてから出席しています。スライド原稿は、1回分の講義をなるべく2〜3日前にアップしておきます。詳しくはこちらで。講義を通して、A4サイズの用紙で100ページ程度になります。
 授業中に試験に出る可能性のある問題の類題を解答します。私が最初から解答するのではなく、出席者に解答する時間を与え、できた人に解答してもらうという形式をとります。できない人に無理に答えさせることはありません。1回解答すると2〜3点をが与えられ、所定の方法で評点に加算されます。
 授業内容の質問等は、授業中はもちろん、授業が終わった直後もすぐには帰りませんので、遠慮なくしてください。質問をせずに、試験の直前や終わった後に内容が分からなかったという苦情は聞き入れがたいものがあります。オフィスアワーはオリエンテーションでお知らせしますが、指定日時以外に研究室に来てもかまいません。■

     

      評価について...

 努力を直接評価することはありません。そもそもそんなことは不可能です。例えば、レポート等の宿題を一生懸命にやったと言われても、それが本人の努力によるものなのかどうか正確に判断することはできないからです。したがって、成績の評価は、2回の定期試験の平均得点と授業中の問題演習に積極的に参加したかどうかで評価します。定期試験と評価方法の詳細についてはこちらで確認してください。昨年度の試験結果(もちろん個別の結果ではない)を見ることもできます。■