廣瀬 健一

         

担当科目:国際マクロ経済学

まず、半年間にわたる講義の前半期間は、標準的な学部レベルの国際マクロ経済学の内容を取り扱います。為替レートや国際収支などの基礎概念に始まり、購買力平価や金利平価といった主要な為替レートの決定理論や、マンデル・フレミング・モデルに代表される伝統的な国際マクロ経済モデルを説明します。その後、講義の後半期間には、家計や企業などの各経済主体による最適化行動に厳密に基づいた、ミクロ経済学的基礎付けの下に構築されたマクロ経済モデルによる分析を紹介し、さらにはそうした手法を用いて、世界経済における経済成長に関する議論も考察します。国際経済に関するトピックスを、単なる現象的な側面だけでとらえるのではなく、マクロ経済学・ミクロ経済学において学ぶような基礎経済理論の積み重ねによって考察することの重要性を認識してもらいたいというのが講義の狙いです。

担当ゼミの紹介

 ゼミの研究テーマは(1)国際マクロ経済学・国際金融、(2)動学マクロ・ファイナンス理論です。3年次には、ゼミ生の関心に合わせながら、(1)and/or(2)の内容に関するテキストを輪読します。また4年次には、卒業論文の作成に向けて、各自の個人研究の発表を行ってもらいます。なお、研究テーマの詳細な内容に関しては、下記の「専門分野の紹介」を参照して下さい。

専門分野の紹介

 国際マクロ経済学・国際金融の分野をメインに、動学的最適化に基づいたマクロ経済学・ファイナンス理論を幅広く研究しています。動学的最適化とは、現在と将来といった異時点間の経済的意思決定に関して、家計や企業などの各経済主体が選択する最適化行動に基づきながら分析を行う手法です。国際マクロ経済学で取り扱われる問題で例を挙げれば、経常収支の不均衡とは、動学的最適化の観点から見れば、国際間における現在の消費と将来の消費の交換という異時点間取引の結果として生じるものと解釈されます。動学的最適化もその1つに含まれるのですが、現在の学術レベルのマクロ経済学においては、ミクロ経済学と同様、各経済主体の最適化行動に厳密に基づいてモデルを構築するという、ミクロ経済学的基礎付けが重要視されています。そこで、私の講義やゼミにおいても、こうした考え方を積極的に紹介していきたいと考えています。

主要業績

·  Decreasing and Increasing Marginal Impatience and the Terms of Trade in an Interdependent World Economy (with Shinsuke Ikeda), Journal of Economic Dynamics and Control, Vol.36 No.10, pp.1551-1565 (October 2012)

·  On Decreasing Marginal Impatience(with Shinsuke Ikeda), Japanese Economic Review, Vol.59 No.3, pp. 259-274 (September 2008)

·  Exchange Rate and Current Account Dynamics with Capital Accumulation: A Dynamic Optimization Approach, Research Center for Finance, Ritsumeikan University, Research Paper No.01-002 (April 2001) [Ch.2 of Ph.D dissertation at Osaka University]