新型コロナウイルスの感染拡大を受け、令和2年4月2日(木)に挙行を予定していた令和2年度小樽商科大学入学式は中止することといたしましたが、学長式辞及び来賓祝辞については、本学ウェブサイトから動画配信することといたしました。
新たな大学生活のスタートに際し、入学式を実施できないことは大変残念ですが、学長および来賓のメッセージを受け取っていただければ幸いです。
商学部ならびに大学院の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。ご父兄の皆様もお喜びのことと思います。
小樽商科大学を代表して、新入生の皆さんが本学の一員となることを心から歓迎致します。
残念ながら、今回皆さんのために用意していました入学式は新型コロナウイルスの北海道を含む全国的な感染者の増加、そして、その終息時期が見通せないことから、皆さんの健康管理を最優先し、中止させて頂きました。
入学式自体は中止となりましたが、皆さんの人生の節目である入学に対して、この映像で皆さんへのお祝いの言葉を届けたいと思います。
新型コロナウイルスは中国で感染者が見つかり、武漢市で急速に拡大し、その後、韓国、日本、そして中東、ヨーロッパ、さらにはアメリカにも感染が拡大しています。
これは見方を変えると、グローバル化の負の側面を示しています。武漢市にはホンダの工場もあり、多くの日本人の方々もビジネスに従事していました。企業が、そして人々が世界中を移動する時代となったのです。
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、人々の移動は制限され、また、国境封鎖なども行われています。
新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息を願うばかりですが、これまでも揺れ戻しを経験しながら、グローバル化は進んできました。大きな流れとしての経済のグローバル化自体を止めることはできません。
我が国にとっても、そして北海道にとっても経済のグローバル化は経済活性化のために必要です。グローバル化のプラスの面をうまく取り込み、マイナス面を極力抑える努力が求められています。
経済のグローバル化に対応するため、本学は2013年に「No.1グローカル大学宣言」を出しました。グローカルとは、グローバルとローカルを一つにした造語ですが、今では広く浸透してきています。
グローバルに考え、ローカルに行動することができる、そのような、今後の北海道の経済発展に貢献できる人材の育成を、本学は見据えています。
また、2017年にグローカルマネジメント副専攻を開始し、本学の学生が、海外の協定大学からの留学生とともに、経済やビジネス関連の専門科目を英語で学ぶ機会を増やしました。来年度からはグローカルマネジメント総合入試も導入されます。
すでに本学は、多くの短期語学研修の制度を設けています。これ以外にも、20以上の海外の協定大学への長期派遣である、交換留学の制度もあります。このような制度を利用して、語学や異文化対応などのスキルを向上させてもらいたと思います。
本学の教育の基本の一つは語学教育にあります。この語学教育を含め、本学は「実学・語学・品格」を教育のモットーとしてきました。これは、本学が明治44年、1911年に我が国で5番目の高等商業学校として設立された際に、初代校長、渡邊龍聖が掲げたものです。そして、その後、100年以上、脈々と受け継がれてきました。
大学の正門を入った左手に渡邊龍聖先生の写真と「実学・語学・品格」と書かれたモニュメントがあります。
時代が移り変わろうとも、教育の基本は変わることはありません。
ここで言う「実学」とは、現実に即した学問というだけでなく、幅広い教養と高度な専門性に裏付けられた実践的な学問です。
そのために本学では一般教育において歴史や文学、自然科学などの科目を揃えています。
そのうえで、経済学科、商学科、企業法学科、社会情報学科において、より専門的な教育を行っています。
さらに高度な教育は大学院において行われています。大学院商学研究科では修士課程、博士後期課程において、高い専門性を持った教育を行っており、研究者の育成も行っています。札幌サテライトにある専門職大学院、いわゆるビジネススクールでは、高度専門職業人の育成を目的に、主に社会人に対して実践的な教育に力を入れています。
実学・語学・品格のうち品格、別の言葉で言えば、「人格の修養」が教育のモットーとなっていることは、ビジネスが人と人との協業であり、お互いに信頼しあい、協力し合うための基本となっているからです。
明治の実業家、渋沢栄一もその著書『論語と算盤』の中で特に若い人々に対して自分を磨き上げることを推奨しています。
しかし、どのような教育のモットーがあったとしても、大学では皆さんが主体的に学ぶという姿勢が求められます。これまで皆さんが経験してきた小・中・高での勉強の方法と大学での勉強には大きな違いがあります。
大学で何をどう学んでゆくかは基本的に皆さん一人一人が主体的に考えて行かなければなりません。どの科目を履修するのかということも皆さんが選択することになります。授業も講義形式のものからアクティブ・ラーニングのように、課題研究やプレゼンテーションなど学生が中心となるものが増えてきています。
そして、双方向的な授業の最たるものが研究指導、いわゆる、ゼミです。3年生、4年生の2年間指導教員や他のゼミ生とともに専門分野について少人数で学びます。ゼミでの少人数教育も本学の教育の特徴の一つです。
そこで学問を究めるだけでなく、生涯の友と出会うこともできます。
皆さんが主体的に学べるよう、図書館はグループワークなどにも活用できるような工夫がなされています。
そして、その入り口の壁にはラテン語でアルス・ロンガ、ウィータ・ブレウィスという文字があります。
英語ではArt is long, life is shortとなります。技術や芸術の習得には長い時間がかかるが、人生は短い、という意味です。
大学の4年間、大学院の2年間は本当にあっという間に過ぎ去ってしまいます。
時間を無駄にせず、有意義な学生生活を送って頂きたいと思います。
また、これまでの入学式の式辞でも繰り返し述べられましたが、8年前、本学のグラウンドにおいて運動クラブの学生が飲酒により死亡するという事故が起こりました。この学生は入学したばかりの1年生でした。亡くなられた学生には心からの哀悼の意を表したいと思います。
一方で、私達はこの事故を教訓とし、二度とこのような不幸な事故を起こさないことを誓いました。
その誓いの石碑が体育館の玄関横にあります。未成年の飲酒は法律で禁じられています。それだけでなく、飲酒は時には死につながる危険な行為でもあります。私達も皆さんにとって安全で安心できるキャンパス作りに努力していきますが、皆さん自身もルールを守り、充実した学生生活を送って頂きたいと思います。
最後になりますが、新型コロナウイルス感染症が終息し、通常の大学生活が戻り、キャンパスで皆さんに会えることを楽しみにしています。
新入生の皆さん、小樽商科大学への入学おめでとうございます。
商大の同窓生組織であります緑丘会を代表して心よりお祝い申し上げます。
今年の入学式は新型コロナウイルスの感染拡大、北海道での緊急事態宣言という未曽有の事態を鑑みて、一堂に会しての式典は中止となりました。皆様にはビデオメッセージにてお祝いの言葉をお伝えします。
新入生の皆さんにおかれては、これから始まる小樽での学園生活に希望と期待に胸を大きく膨らませてこの場におられると思います。私は半世紀ほど前に入学しましたが、商大生であった4年間は卒業後の年月と比較しますと短い期間でありますが、大変充実した中身の濃い日々であったと思います。
商大の「実学」「語学」「品格」を重視した教育は、今も昔も変わらない本学の教育の特徴ですが、他の社会科学系大学と比べて、商大が誇れる強みは何でしょうか?
例を挙げれば、第一に、女性の一層の活躍が期待される今日において女子学生が4割以上を占めていること。
第二に、ベンチャーや起業・創業を後押しする大学院・アントレプレナーシップ専攻があること。
第三に、ゼミやクラブ活動が活発で充実していること。
第四に、留学生との交流や、充実した海外留学制度を活用して多様性を学び、国際性を身につける機会が多いこと、などが特徴であり強みだと思います。
小樽商科大学は、規模は小さいけれども、創立以来100余年にわたりグローバルな人材を北海道はもとより全国、海外に送り出してきました。この小樽のまちと共に歴史を刻んできた母校は、創立以来の伝統と精神をしっかりと守り、今日まで、チャレンジスピリットに富み、気骨溢れる有為な人材を育て、地元北海道はもとより全国、さらには海外に送り出してきました。
産業界はもとより、国内外のさまざまな分野での商大同窓生の活躍は、高く評価されているところです。
大学でどのようなことを学び巣立っていくのか、皆さんはどのようなプランを持っていますか?
先輩から2つほど助言をしたいと思います。
第一は、常に国際的視点を持って、課題を見つけ、それを解決する能力を磨いて欲しいということです。
今までよりも広い視点から物事を見て、多様なバックグランドを持つ人達との切磋琢磨を通じて皆さんの人間力を高める努力をしてください。軸足はこの北海道に置きながらも、国際的な動向にも強い関心を持って学園生活を送って頂きたいと思います。
道内で職を求める場合であっても、グローバルな視点を欠くことはできない時代になっており、今後は益々この傾向は強まるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大は北海道の産業や経済にも大きな影響を与えつつあり、海外からのインバウンド観光や食を中心とした道産品の海外向け輸出などへのネガティブ・インパクトは深刻に懸念されるところです。北海道の産業・経済にとって、海外との交易や人的交流は必要不可欠なものとなっていること改めて認識してください。
皆さんには、深く考えて洞察する力、問題を発見する力、解決する力を磨いてほしいと思います。入学試験は過去問、すなわち、答えのある問題を解くことでしたが、今日から始まる学園生活では答えのない課題へ挑戦し、自身の頭で深く考えて課題の解決策を見つける、この経験を繰り返し積んで頂きたいと思います。
第二は、大学での4年間に、勉学に加え、これはという経験を積んで欲しいということです。
スポーツでも文化的なことでもよいのです、夢中になって打ち込んだ経験が社会に出てから大きな自信になり、様々な試練を乗り越える上での財産となるでしょう。
改めて申し上げますが、小樽商科大学の良さの一つは、小規模な単科大学であるがゆえに、学生、教職員、卒業生の一体感が強いということです。
この緑丘で培われた絆が、全国有数の同窓会組織である小樽商科大学同窓会「緑丘会」を核にして、社会に出た後も続いています。
この絆を維持し、更に高めるのは、皆さん一人一人が主役です。
これからの緑丘での学園生活を通して、皆さん自身が主体的に行動し、お互いに能動的な働きかけを行うことから始め、まずは、同級生同士の絆を深る努力をしてください。
それが年次や世代を超えた関係に発展し、広がっていくはずです。
皆さんは今、真っ白なキャンバスの前に立っています。
有意義な4年間を過ごし、自分自身の絵を思う存分描いてみてください。
最後になりますが、皆さんの前途を祝し、私の挨拶とします。
本学卒業生の同窓会であり、大学の行うキャリア開発教育に対する支援及び関連事業の運営支援、並びに就職支援事業の企画・運営、資金支援等を通じて、青年産業人材の健全な育成に寄与することを目的としています。
皆さんご入学、誠におめでとうございます。
今年はコロナウイルスの感染拡大を受け、残念ながら入学式が中止となりましたが、新しい大学生活に向けて、さぞ期待に胸を膨らませていらっしゃることと思います。
皆さんには、是非この小樽という街と小樽商大での大学生活を大いに楽しんで頂くよう願っております。
さて、同窓会である「緑丘会」について4点説明をさせて頂きます。
1点目は、皆さんの大半の方は既に「緑丘会」の会員だと言うことです。
入学の際に、学生時代の4年間と卒業後の3年間の会費を納めて頂いております。
同窓会は現役学生の皆さんの支援を厚く行っておりますので、この様な形で会費納入をして頂いています。
もしまだ納めていない方がおられましたら、是非納めて頂きたいと思います。
2点目は「緑丘会」はどのような支援を行っているかです。
私たちは現役の学生さんへの資金援助や講座の提供、就職支援をしています。資金援助というのは、留学生への奨学金授与や優秀な学生さんを対象とした奨励金の授与、TOEIC IPテストの受験費用の援助などです。
また、皆さんの先輩が講師として社会経験を伝えるエバーグリーン講座にも「緑丘会」が支援しています。
この講座は30年以上も続いており、学生の皆さんには好評を頂いています。皆さんも受講されます。是非味わってみてください。
更に、皆さんが就職を考え始められる時に、300社以上の企業を大学へ招き、企業説明会を実施するセミナーへの支援活動もしています。また学内に「就職支援室」を設置し、就職に関する相談も受けています。
3点目は、国内に24支部、海外にも支部があり、社会人に有益な各種イベントを実施しているという点です。
転勤等で勤務地やお住まいが変わっても、その土地土地で充実したネットワークに参加いただき、人脈の形成や生活の糧に活かすことができます。
また東京や札幌では「緑丘ビジネス塾」などの名称で、若い社会人へ向けた活動も実施しております。
実社会の先輩の経験談などを学習する絶好の機会です。会報やホームページで是非ご確認ください。
最後に、小樽商大は2021年7月に創立110周年を迎えます。
これに伴い、昨年の3月から3か年をかけまして、記念募金をお願いしています。1億円を集め、全てを大学のサークル会館補修や学生さんの留学支援等のために寄附します。
お手元に趣意書が届いていると思いますがご理解を賜り、是非ご協力をお願いします。
小樽商科大学校歌
時雨 音羽 作詞
杉山 長谷夫 作曲
(一)
金鱗おどる渺々の
あけぼの称う浪の唄
エルムの花に若人の
涯なきのぞみ数々秘めて
夢うるわしの緑ケ丘よ
(二)
夕陽映える白樺の
梢をわたる風の唄
慈愛の山のふところに
銀翼みがき駿足秘めて
唄ほがらかの緑ケ丘よ
(三)
蒼穹はてず道つきず
はるかに仰ぐ北斗星
栄冠迎うこの胸に
飛躍の力ひととき秘めて
花咲き匂う緑ケ丘よ
(四)
健腕拓く五大洲
凱歌はあがる我母校
感激満てる若人の
血潮に清き教えを秘めて
春永遠の緑ケ丘よ
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JASRAC許諾第E1904223407号
応援歌「若人逍遥の歌」は、1955年に札幌地検小樽支部長として着任した高島茂氏が作成した逍遥歌の歌詞が大学に献呈され、当時の学生の宮内泰氏が作曲し、今も歌い継がれています。
若人逍遥の歌
高島 茂 作詞
宮内 泰 作曲
(口上)
春風颯々として山河をめぐり
百花繚乱の盛夏となりぬ
霧水来たりて百山紅を呈し
龍田の朔北(と)なれば暗雲天空を覆い嵐を呼び
紅山白山と化しその白雪の中に身を埋める
その厳しき天地のすべ我等が俗世と何の関わりが有ろうか
連山残雪に覆われし頃比の朔北の地に移りし我等なれば
何を悩み何をば求めん
俗世の安楽冥利とは大海に漂う塵の如し
我等その塵に何ぞ命を託さんや
今こそ悪夢より覚醒出でて
打ち寄する荒波の如き熱き血潮を持って杯をかかげん
春宵の暁にいざいざいざ歌わんかな我等が命を
(一)
琅玕融くる緑丘の
春曙を逍遥えば
浪漫の靄に街沈み
風悠久の言葉あり
瀾朶の桜花吹雪つつ
あわただしくも逝く春の
伝統古き学舎に
展ける海のはてしなき
(二)
夏白樺に囁やきて
ハイネの詩を口ずさむ
みめ美わしきまなざしの
又なき時の愛しさ
断崖落ちて波くだけ
オタモイ遠く帆走れば
オタルの嶺々の夕あかね
冴ゆる北斗にうそぶきぬ
(三)
秋簫条の思い濃き
ポプラにかかる雲消えぬ
流転の行旅夢に似て
悩みの思惟を誰か知る
感傷笑うことなかれ
桜ケ丘にたたずみて
泪滂沱と憂愁の
落葉の行方誓うかな
(四)
氷雪海に傾きて
月寒ければ翻とかん
晦冥行路遠けれど
われに港の乙女あり
流星落ちて影もなし
逝く青春の足音に
生命を惜しむ若人は
永却の杯酌まんとす
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新年度(令和2年度)の新入生オリエンテーションについて