2020.10.16
その他
言語センターの高橋先生より学生のみんなにメッセージが届いたよ!!③~月夜の商大~
今日は言語センターの高橋先生より学生のみんなにメッセージが届いたから紹介するよ!!
7月17日、8月7日に引き続き、今回で3回目なんだ!
<1回目>はこちらから、<2回目>はこちらから!
高橋先生、お願いします!
月夜の商大
みなさん、こんにちは。後期の授業が始まりましたが、お変わりありませんか?
少しだけ人気が戻ったようには見えるものの、いまだにキャンパスは静まり返っています。そんなわびしい風景も、相変らず続くオンライン生活の窮屈さも不便さも、みんな慣れつつあるのかな。愚痴っても何も変わらないと分かっていながら、つい口をついて出るのは「いつまでこんなの続くんだろ。」でも耳を傾ける人はどこにもいなくて。「ソーシャルディスタンス」なんて妙な習慣がしっかり日常に定着したおかげなのか、メールを開いても届くのは業務連絡かオンラインショッピングの請求のどちらか。
SNSの通知は毎日決まって、新規感染者数の更新ニュース。「あーぁ、つまんない。この職場には心打ちとけて語り合える仲間っていないんだったかねぇ?」と誰にも聞こえない皮肉交じりの愚痴を、無人のオフィスであてつけがましくまたひとつ。そんな調子で仕事して、ある晩電気を消して帰ろうとしたとき、飛び込んできた景色がありました。
4階の言語センター室からの眺めです。「ウチの大学って、こんなすごいところにあったんだー!」と驚いて、持ち合わせていたiPhoneで撮った未加工、未修正です。この晩は「中秋の名月」でした。空は晴れ渡って見えるけど、実はこのちょっと前までひっきりなしに冷たい雨が降っていました。雲間が広がった瞬間に、突然小樽の街全体を照らした月の光は、ものの数分と続かず、すぐに流れる雲に霞んでしまったけれど、それでも「悪いコトばかりではないょ」と悟らせてくれたように感じました。
なぜかそのとき、最近読んだアルベール・カミュの小説『ペスト』(1947)が頭をよぎったんです。コロナが世界的に蔓延するなかで、改めて注目されている名作です。まるで73年後の現在を予知していたような物語で、人々が次々と疫病に倒れていく絶望感がハンパない。「個人の運命というものは存在せず、ただペストという集団的な史実と、すべての者がともにした感情があるのみ」なんてことが書かれて。さらに、しだいに人々がそうした惨めさも苦痛さえも感じなくなっていく様子に対して、語り手は「絶望に慣れてしまうことは絶望そのものよりも悪い」とまで云う。そんな状況下で、主人公のリユウ医師はペストが自分にとって「際限なく続く敗北だ」と認めながらも一人ずつ患者の治療にあたっていくんです。このとき彼は、ペストと戦う唯一の方法は「誠実さ」であり、彼にとってそれは職務を果たすことだと信じて行動します。
当たり前のように聞こえるリユウ医師の信念は、切り取って私達にもあてはめられるような気がします。コロナと戦うために私達が必要とする「誠実さ」とは、ふたつあると思います。ひとつは、感染の予防をぜったいに侮らないこと。これは自分だけでなく周りの人達の健康と安全に対する「誠実さ」ですよね。そして、もうひとつ自身に向けるべき「誠実さ」があると思います。それは、絶望に慣れないこと。…というと大げさだな。でも思い描いた通りの大学生活ではなくなったという、その失望感に慣れないでほしい。コロナのせいにしたって誰のせいにしたって戻りはしない、「今」っていう時を楽しみ有意義に過ごすことを諦めないでほしいです。どんなことでも良い、自粛を求められたり中止が相次いだりと様々な制約があるなかでさえも、今だからこそできる何かを見つけてほしいと思います。
最近、学生の皆さんのなかでこうした状況にもめげず新しく遠隔によるサークル活動を始めたという話を聞きました。また、部活動の大会参加のために授業をお休みしますと、久しぶりに届いた欠席通知にも、頼もしく感じてしまいました。物事がうまくいかない時に、あきらめないで自分の居場所や生きがいをさがした日々をいつか愛おしく思えるように、そんな皆さんの姿を気まぐれな月が笑って見守る晩がおとずれますように。次の満月は、10月31日、ハロウィンだよ。
Trick or Delete…!?
つれづれ想いのままに書きましたけど、最後まで消さずに読んでくださり
ありがとう。
高橋先生、ありがとうございました。
昼間の風景もきれいだけど、月夜もこんなにきれいなんだね~!
みんなも月がきれいな日はぜひ海の方を観てみてね★
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