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2020.03.10

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高橋優季先生に国際学会での発表についてインタビュー!

ブログ学生スタッフの遠藤・大坂です。

今回は、言語センターの高橋優季先生が昨年12月にパリで開催された学会に参加されたということで、そちらを踏まえて先生の研究についてインタビューさせていただきました!

高橋先生、よろしくお願いいたします!

 

 

 

Q.初めに、小樽商大での研究分野と担当科目を教えてください。

本学の授業で教えている教科は、1、2年生の必修科目英語と英文学史です。

主な研究分野は19世紀後半から20世紀にかけてのイギリス・アイルランドの英文学です。

そのなかでも、この時代にアイルランドで活躍した詩人、William Butler Yeats (ウィリアム・バトラー・イェイツ、1865-1939)の文芸作品とあわせて伝記的背景を研究対象にしています。

あと、同時代の美術とくに「アーツ・アンド・クラフツ運動」と呼ばれる分野の工芸美術ですね。

 

 

Q.パリでの学会に参加されたということですが、どのような学会に参加されたのですか?

『International Yeats Society(国際イェイツ協会)』という団体が毎年1回開催する年次大会に参加しました。

この団体には、先に触れましたアイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツについて研究する学者が集っていて、私もその1人です。

学会の年次大会とは、研究者どうしが互いの研究成果を発表し合う、一種の発表会のようなものです。

発表者はパワーポイントなどを使って一人あたり約30分程度で研究成果を発表します。

 

今回の大会は「Yeats and Eros(イェイツとエロス)」というテーマのもと、パリのソルボンヌ大学で開催されました。

広く「性愛」を意味する「エロス」という言葉には、他にもさまざまな意味があって(俗っぽく「エロい」だけじゃなくてね!)、ローマ神話に出てくる弓矢を持った恋愛の神様キューピッドにも相当します。

今回は、そうした「エロス」というキーワードとの関連をもとにイェイツの文芸解釈の新たな試みや伝記研究の展開が多く発表されました。

 

そこで私は、20世紀初頭にイェイツと交流のあったスコットランドの女性アーティストPhoebe Anna Traquair(フィービー・アナ・トラクェア、1852-1936)の工芸美術にフォーカスしました。

このアーティストは、例えば教会などの公共建築に最大で高さ20 m近くある壁画を描いてイギリス中で有名になり、私(高橋)の身長を上回る高さ180 cmの刺繍パネルをいくつも制作し、またキラキラでカラフルなエナメル装飾も数多く残しているんですよ!

どれも息をのむほど美しいこれらの作品は、今でもスコットランドの首都エジンバラや工業都市グラスゴーの美術館などで見ることができます。

興味深いのは、そんな彼女の作品の多くに描かれるロマンティックな恋人たちのモチーフが、同じ時代に書かれたイェイツの恋愛詩の情景をあたかも挿絵のように表して見えること。

色鮮やかな工芸美術と、言葉を一つ一つ紡ぐように綴られる詩が、ハーモニーをつくり上げたなかに見える、または読み取れる「エロス(愛)」の世界とは…?というようなことを考察し発表してきました。

 

 

Q.ご自身の発表についてどのように評価されますか?

顔を上げて、言いたいことがしっかりと言えたので満足しています。

フロアからの反応も好意的で、質疑応答の場でさまざまな質問やアドバイスを受けたことで、関心をもって聞いていただけたのだなと安心できました。

また、途中で言った冗談が周りにウケたりして嬉しかったです。

全体を通して、自らの励みになる結果になったと思います。

 

 

 

 

Q.学会の中で印象的だったことは何ですか?

他の方の発表から、イェイツと交流のあった女性に関する資料が、遠く離れた日本から発見されたことを知り、とても驚きました。

また、フェミニズムの観点から、SNSで今現在話題の「#Me Too」運動と、それより100年近く前に書かれたイェイツの性愛に関する詩作品の解釈との関わりを論じた方もいて、文学と社会運動との関係の一端を見ることができ、新鮮でした。

 

 

Q.なぜイェイツについて研究しようと思ったのですか?

よく尋ねられる質問ですが、正直なところ、気が付いたらそうなっちゃったって感じです(笑)。

大学時代にファンタジー小説をたくさん読むうちに、イギリスやアイルランドに生息するらしい(?)妖精について数多くの伝説や民話が残っていると知りました。

イェイツは、それらを採集して編集し後世に語り継がれるようはたらきかけた人々のうちひとりだったとわかり、この作家に興味を持ち研究してみようと思いました。

興味って、数珠つなぎのように広まっていくのですよね。

1人の作家について研究を重ねていくうちに、自分の価値観とは切り離された、作家自身の価値観から、その人の人生を見つめることの面白さに気づきました。

 

 

Q.商大生に向けてメッセージをお願いします。

商大生の皆さんは、しっかりとした意見を持っているのにそれを発信することがあまりないと感じます。

ゼミのプレゼンや就職後など、これから意見や考えを発表する機会はたくさんあります。

そこで大切にしてもらいたいのは、自分の意見に自信を持つことです。意見の中身に間違いも正解もありません。

自身の発表の場において、賛否両論が起こるのは自然なことであり、反対意見が出たところで、それによって自身が努力して組み立てたものが全否定されるというわけではありません。

たとえ誰かの批判にあったとしても、それさえも建設的に捉え、これからの糧にしていくことを心がけてみてください。

 

 

(パリの街並みについてのお話などもたくさんしていただきました!)

 

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研究と学会の面白さについて、笑顔でたくさんお話してくださる姿がとても印象的でした。

高橋優季先生、ありがとうございました!

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