今日は昨日に引き続き、岩本先生に出版された本の解説を
してもらったよ!
Qこの本を理解するためにはどんなことを学んだらいいですか?
まずは民法の知識と理解が必要です。
さしあたり民法総則(契約の基礎理論に当たる部分。
商大の科目で言えば民法基礎I)と不法行為(権利を侵害された
被害者を救済する制度。商大の科目で言えば民法基礎II)について
理解があれば、この本を理解することができると思います。
また、詐欺という特性上、刑法学が関連しますので、刑法の知識も
あればよりよくこの本を理解できるでしょう。
この本が取り扱う学問対象はもちろん法律学ですが、それに加えて
(1)歴史
(本書ではローマ法→中・近世ドイツ法→日本の鎖国終了
→日本におけるドイツ法の導入→戦前・戦後→現代ドイツ民法・
日本民法まで)、
(2)宗教
(「詐欺を働く奴はケシカラン」→「『ケシカラン』という
非難を受けるべきは故意に騙した者だけ」という発想は
キリスト教に由来しています)、
(3)哲学
(中世以降、個人を重視する哲学が登場し、被害者側の
「権利」が強調されたことで、加害者側の「故意」を
否定する可能性が生まれました)、
(4)政治
(民法それ自体が政治的産物ですし、また詐欺被害を抑える
には法改正という政治的作用が不可欠です。
しかし詐欺が成立しやすくなると企業が困ります。
企業収益の機会(≒「社会全体」の利益?)が失われるからです。
ところで、経団連が支持する政党はどこでしょう?
・・・というわけで民法96条はなかなか改正されません)、
(5)経済学
(そもそも「正しい情報」を入手するコストは誰が負担する
べきなのか、という問題があります)
も含まれます。
法律学を理解する上で「法律学と隣接する諸学問」の理解は
とても重要です。とはいえ、法律学以外については私も素人
ですから、この本では難しいことは書かれていません。
「法律学の内側から、外側の景色を少し覗いてみたい」という方にも、
この本を手に取ってもらえればうれしいです。
岩本先生、ありがとうございました!
図書館にも3冊所蔵するので、開館したら読みに来てね!
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