小樽商大学術成果コレクションBarrel登録2400件目は、中津川雅宣さんによる修士論文でした。
タイトルは、『Nakatsugawa, Masanobu (2009) "Bridging the Gap : A Communicative Grammar - Translation Approach"』。
中津川さんへのインタビューを少しだけお伝えします!
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Q:登録2400件目の論文はどのような内容ですか?
文部科学省が提示する英語教育は、コミュニケーション能力を重視する教育を学習指導要領で示していますが、実際に教育現場を見ると入試に向けた文法訳読式英語教育が未だに優先され、その格差が非常に大きいと感じました。この溝をいかに埋めるか、どうしたら入試英語を保持しつつも学習指導要領に沿ったコミュニケーション重視の学習方法に近づけることができるかということを、ひとつの指導案を提示して述べたものです。
まず、高校の教育現場(10校)を視察し、実際に使用されている教科書と指導内容を調査紹介しました。その上で、同じ教科書を使いつつも、やり方を工夫する等して、コミュニケーション能力を高めるための学習方法を、個々の具体例を示して提案しています。
Q:この研究をはじめられたきっかけは何ですか?
元々英語は得意ではなかったのですが、ゼミの先生の影響、通訳の仕事の経験等により、英語及びその教育方法の大切さについて興味を持つようになりました。
教育実習を経験して、実際に大学で学んでいること、指導要領と学校現場の教育方法との乖離を感じ、使える英語を学ぶことができれば生徒たちがもっと楽しく、視野も広がっていくだろうと思いました。
ちょうど論文を書きはじめたときに、2011年から行われる新学習指導要領の素案が出されたころで、入試の内容も徐々にコミュミケーション重視型に変わりつつあるという印象がありましたが、現場を見てみると、教員のコミュニケーション能力の問題もありますが、まだ多くの先生が文法訳読式で「日本語に直訳してください」といった旧来型の指導が目立ちます。それを少しでも変えていく必要があるなと感じたのがきっかけです。
第二言語習得や英語教育の分野でも80年代からコミュニケーション重視の英語教育が紹介されているにもかかわらず、入試偏重傾向もあり、教員も各自の指導スタイルを変えるのは難があるようで、韓国の英語政策等と比較しても我が国はかなり遅れをとっているなという印象でした。ようやく日本も重い腰を上げてきているなというところですね。
現在の制度では、僅かな教育実習を含めて大学を出れば即教壇に立てますが、どう英語を教えていいのか分からないということもあるでしょう。不適切な教育を受けた教員が、その経験のみで指導すると負の連鎖を生みます。米国・カナダ等では教員に限らず、免許取得後1~2年の研修等も行われています。生徒よりも先生を指導する方がより課題が大きいと思いますので、論文では我が国の問題点として、学習指導要領の目標が高すぎることや、教員の能力(トレーニング不足)等も指摘しています。
教員の能力が高くなくても僅かな工夫をすれば、コミュニケーション対応の授業はできるのに自信がないのか現場がやれないでいる、そういった場合の指針や手助けになるような具体的指導要領が必要だと思いました。
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中津川さん、お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。
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