2100件目は商学科の小田先生の論文です!
小樽商大学術成果コレクションBarrel登録2100件目は,商学科の小田先生の論文でした!
タイトルは『小田, 福男 (1999-05)サハリンの住宅産業 (2), 北東アジア-サハリン研究会調査研究報告書 2: 39-56』。
小田先生へのインタビューをお伝えするよ!
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◆登録2100件目の論文「サハリンの住宅産業 (2)」は、どのような内容ですか?
サハリンの住宅の現状を、現地の企業調査・団地の視察などを通じて考察したものです。ユジノサハリンスク市役所へのインタビュー、サハリン州建設局でのインタビューなど、現地における調査を重ね、主にサハリンの低層木造住宅について考えました。
サハリンは、都市ではコンクリートや煉瓦の伝統的な高層住宅が多いのですが、郊外には低層住宅があります。ソ連時代は国営住宅を借りて住む形式でしたが、自由化とともに国民がマイホームを持てるようになってきました。住宅の多様化がすすみ、上流・中流階層の人々も郊外に家を建てるようになり、低層住宅が増えています。また、サハリンでは住宅を家族や親戚・知人で建築するDIY方式の伝統もあることが分かりました。そのあたりに、北海道の住宅企業の参入可能性が有ると考えました。
北海道とサハリンは近く、気候も似ています。またサハリンには木材資源が多くあります。住宅展示場を設置して、なじみのない人に北海道の高断熱・高気密の木造住宅のよさをアピールする工夫、様々な市場開拓戦術を進めること等を提案しました。
◆この研究をはじめられたきっかけは何ですか?
この論文は、私が初代代表である「北東アジアーサハリン研究会」の調査研究報告書の一部ですね。この研究会は、サハリン大陸棚石油・ガス開発と北海道地域との関連を分析し、国際的な地域のつながりから北海道経済の活性化を考えようというものです。そこで、本学の教員のほか、小樽商工会議所の方、小樽市の方がメンバーとなっています。調査研究報告書は平成14年の第6号まで出ています。サハリンの大陸棚石油・ガス開発は「開発プロジェクト10」まで続く予定でしたが、「2」が終わったところでストップしていることと、われわれの研究資金の不足で(笑)、6号以降出ていませんね。
サハリンの豊富なガス資源は液化され、日本、韓国、台湾などに輸出されています。開発プロジェクトにはロシアの政治事情等、様々な要因が絡んでくるのでいつになるかわかりませんが、再開され、サハリンと日本で人の行き来が盛んになれば開発現場での住宅建設なども有り得る訳ですし、研究会はいまでも続いているので、継続してゆけたら、と望んでいます。
◆現在の研究について教えてください。
最近はサハリンだけでなく、ウラジオストク、ハバロフスク、そしてモスクワにまで足を伸ばして住宅事情、企業等の調査をおこなっています。モスクワでは、住宅業者が沢山のブースを作って住宅フェアをやっていました。隣の博物館に行くのをやめて、そちらの見学に切り替えてしまいました(笑)
近年ロシアでは、木造住宅の良さを取り入れる動きが出てきていますが、「三匹の子豚」のお話に例えられるように、ロシアの人々は伝統的に、石、レンガの家が好きなんですね。特に都市の人は、木の住宅に慣れていません。燃えやすい、寒いといった先入観があります。しかし、木造パネルによる高気密住宅は、寒冷地技術として優れていますし、それから軽くて工事がしやすい、そうするとコストもかからないというメリットがあります。
3月に書いた、小田福男 (2009-03)モスクワの低層住宅団地開発 : 2つのケース, Discussion paper series, 117: 1-36 がBarrelに載っていますよね。今年も、現地に出かけて調査を行なう予定です。
◆Barrelに掲載された文献をどのような人に読んでもらいたいですか。
まずは、道内の住宅関連のビジネスパーソンに読んでもらいたいです。ビジネスパーソンと言っても、住宅メーカーの人だけでなく、道庁の経済政策や国際化を担当する人など、様々な分野に存在しますよね。また、サハリンの人々の生活や経済に関心のある方々にも是非、広く読んで欲しいと思っています。
◆Barrelについてご意見,感想をお願いします。
アクセス数、ダウンロード数の通知をしてくれるのがいいですね。私の研究はかなりマイナーな分野なのに、予想外に多くの人に読まれていることに驚かされます。
なにより、たくさん読んでもらえると嬉しいですね!
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小田先生、お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。