ドイツの協定締結校(ベルリン経済大学)に留学中の三熊くんからの留学報告だよ!
Q.ベルリンはどんな街ですか?
ベルリンはドイツの首都ですが「ドイツであってドイツではない」というのが僕の印象です。またドイツの他都市に比べ一つの街として歴史が浅いのも特徴だと思います。壁を境界線にして東西では街の雰囲気がまったく違い、西側は経済の中心として成長したのに対して、東側は冷戦時代の爪あとを残しながらも現代アートが育つ場所として混沌としています。またシンケルなどに代表される豪華絢爛な建物があるのも東側です。簡単に言うならば「静の西・動の東」といった感じだと思います。街のいたるところに歴史を感じることができる博物館・美術館があり、さすが芸術の街といった感じです。
Q.ベルリン経済大学はどんな大学ですか?
Fachhochschule fur Wirtschaft Berlin(ベルリン経済大学)は西の中心地からさほど遠くなく利便性が高く、格式高そうな外見とは裏腹に中身はシンプルで学生が使いやすいようになってます。講義は一コマ4時間と日本に比べて二倍ですが、日本の講義とは180℃違い学生が発言をするのが前提となっている出席者参加型ですので、寝るのも不可能となってます。また教授の前で理論実践やプレゼンテーションを行ったりするのが多く、様々な分野での深い知識が要求されます。だからでしょうか、講義の質が高く机上の空論とならないのが最大の特徴でしょう。あまり暗記や聴いてるだけの講義が苦手な僕はこちらの形式のほうがしっくりきます。大学施設はあまり整っているとは言えませんが、大学から発行されるセメスターチケットがあると交通機関が無料になり公共機関から娯楽まで無料または割引となるので困りません。
Q.ドイツ食事はどうですか?
基本的に外食ですがドイツの料理はおいしいので困りません。またベルリンにはどこの国の料理もあるので飽きません。日本料理も日本人がやっている料理屋や料亭もあったりするほどです。外食をしない場合は大体他の留学生にたかってご飯ご馳走してもらってます。後期からは日本人もきたので嬉しい限りです。たかれない場合はベルリンのファーストフードであるドナ(ケバブを独特のパンではさんだもの)で済ましたり。また寮内でほぼ毎日飲み会が開かれているのも嬉しいかぎりです。毎日各国のお酒を飲み様々なことを語ったりしてます。一種の家族ですね。またドイツに来てからというわけではないですが、どのビール・ワインがおいしいか飲み比べをしてます。最近のお気に入りはハンガリーのパリンコとドイツのウンダーベルク、アイラウィスキーとかですね。
Q.留学生活はどうですか?
基本的に日本に居るときとあまり変わっていません。アルバイトをしなくなった分だけ趣味に時間を割いているといった感じです。
講義は一日に大体1個か二個で夜からのが多いのでそれまでの時間を街中で過ごします。美術館に行きピカソやルーベンス、レンブラントなどの絵を一日中見たり、ビリヤードをしたり。その後お気に入りのカフェに行きコーヒーと一緒に遅いランチを食べニュースチェック。講義後は友達と飲みに行きその流れでクラブに行ったり。って感じですね。寮のバーでイベントがある場合はDJやバーテンダーになったり、他の留学生とライブをしたりしてます。また日曜日は所属しているサッカーチームの練習か試合があります。また 「祝祭都市ベルリン」と言われるように様々なイベントが毎日開催されます。オペラやミュージカル、クラシックなどだけに限らず国際映画祭(様々なジャンルに分かれている)やロックライブ等の若者向けなものもあります。国際音楽祭・国際映画祭が有名でしょう。
このようにベルリンでは遊ぶには事欠かないので毎日充実してます。なにより日本では見れない美術品や本場のクラシックを毎日みれる・聞けることがよだれもんです。
また2008年はヨーロッパサッカーの祭典「ユーロ2008」がありました。ドイツは惜しくも決勝で敗れてしまいましたがユーロ期間中は街全体がサッカー一色に染まっていてサッカー好きとしてはたまりませんでした。特に準決勝・決勝はビックスクリーンの下に50万人以上集まりお祭り騒ぎでした。
留学生という身分をフルに生かしてドイツの文化を吸収するために日々頑張ってます。
Q.どうして留学したのですか?
多くの人の留学理由が海外への憧れや英語の勉強のためだと思いますが、僕の場合は自分の失ったものを取り戻すため、というのが一番強い理由なのではと思います。海外で生活をしていて日本に帰国し昨年(2008年)で5年目。日本の生活に適応していく反面、昔自分が持っていた外国人的視点を徐々に失ってきているのを感じていました。言語に不便の無い生活はなんてすばらしいのだろうか。日本では何の苦労もしなくても何でも出来る。何でも出来れば努力もしないし、ましてそのこと自体をやろうともしない。思えば今までぬるま湯に浸かっていたのだと思います。
もう一度あのころの感覚を取り戻すだけではなく、さらに高みを目指すために誰にも頼れない環境に自分を追い込み、0からのスタートをすることにしました。そのための英語圏でもフランス語圏でもないドイツです。
また専門分野の異文化理解・異文化比較のためというのもあります。
相手の文化を理解するにはまず自国の文化をよく知らないといけないと思ってます。自国のことを知る一番の近道が外から見つめなおすことだと思います。人に説明しない限り自国での当たり前なことって見直さないと思うんです。例えば―どうして東京は東京と書くのか。どこの都市にどのくらいの人が生活していて、特産物は何なのか。どうして関西・関東でアンペアが違うのか―など。ほとんどは人に聞かれて初めて疑問に持つものだと思います。生活する人たちにとっては当然のことですから。何事も外からの視点というのは大事だと思うんです。自分のことや日本のことを見つめなおすのに外からの視点というのはとても重要なものなのではないでしょうか。