今日はアメリカの協定締結校,ミューレンバーグ大学に長期留学した高澤くんからの留学報告だよ!
10月にアイスランドからの留学報告を紹介したのに続いて今度はアメリカからの留学報告が届いたよ。アメリカでの留学生活ってどんな感じなんだろう,早速高澤くんからの報告をどうぞ。
Q.どうして留学しようと思ったんですか?
留学する多くの人が,随分と前から計画していたというケースや,海外に強い憧れがあったというケースが多いので恐縮ですが,僕の場合は自分の器を知りたかったからという理由が一番正しいのではないかと思います。きっかけは,商大で英語の授業を一緒に履修していた中国人留学生の友人に言われた「そんなに英語ができるのに,どうして日本にいるの?もったいない。」の一言でした。当時の僕にはその言葉が凄く新鮮に聞こえました。そもそも,自分が英語をそこまで出来る人間だという自覚がありませんでしたし,留学しようなんてそれまで考えたこともありませんでした。それからどうしてか,どうにもその言葉が気になって,義務教育課程も含めて今まで自分が英語を勉強してきた理由だとか,大学で履修してさっぱり身に付かなかった第二外国語のこと等に考えを巡らせていました。特に「もったいない。」という言葉がずっと尾をひいていて,「このままで良いのか」という当時の自分の学生生活の現状への問い掛けにリンクしていた気がします。何となく受けてみたTOEFLでも留学するのに十分な点数を採ることは出来ずに,結局自覚がないどころか,能力もなかったんだろうと思います。
それからしばらくは,「留学は出来たらいいなぁ」ぐらいの気持ちで,一人でボチボチ勉強をしていました。その時僕をボチボチでも動かしていたのは,「将来はこうなりたいけど,何をやっていいかわからない。だから,とりあえず何でもやってみよう。」という気持ちだったと思います。正直に言うと,あまり海外生活への憧れや留学への憧れといったものはありませんでしたし,その点では留学経験者の中でも稀かもしれません。
大学二年生の終盤にもなってくると,大学生活の終わりが凄く身近に感じられました。それと,それぐらいの年頃には「自分という人間がどこまで通用するのか」という疑問を誰しも持つのではないかと思います。留学の準備等を一生懸命始めたのはその頃からだったと思います。きっと,20歳になった自分という人間が,言葉も通じない異国で全くの更地から始めて他人にどのように理解されるのかということに対する挑戦する気持ち,これが僕が留学しようと決めた一番の理由なんではないでしょうか。
言語に対する興味・海外に対する興味,こういったものがあることはもちろん良いことですが,なくても良いのではないかと僕は思っています。僕の場合は,全くなかったわけではないですが,そういったことよりも,自分が20歳でどんな人間になっているのかを知りたかったというところが大きかったです。留学の経緯や動機をみても,決して立派なものではありませんが,何かを始める時はちょっとした好奇心と勇気があるだけで十分な理由になるのではないかと思います。
Q.ミューレンバーグ大学はどんなところ?
ミューレンバーグ大学はアメリカのペンシルヴァニア州・アレンタウンに位置する大学です。まずはアレンタウンについて少しお話しましょう。アレンタウンはペンシルヴァニア州で,3番目に大きい街でニューヨークまでバスで2時間の場所に位置しています。3番目に大きいとは言っても,天を衝くような高層ビルは一切なく,落ち着いた街です。気候は,北海道ほど寒くはないものの,北海道に似ています。
そのアレンタウンの郊外に位置するのが,ミューレンバーグ大学です。郊外ですので,自然も豊かで大学の敷地内でリスやウサギがピョンピョン跳ねているのを見た時は,凄く新鮮な感じがしました。ミューレンバーグ大学は商大よりは大きい大学ですが,規模は小さい大学です。小さいながらも,本当に学科は何でもある大学で,教授達もそれに見合っただけいます。それもそのはずで,正規の年間学費400万円という,アメリカでも富裕層が行く大学です。少人数クラスが基本で,大体多くても1クラス20人で授業を受けられます。生徒はユダヤ教徒が多い大学で,大学のレベルも比較的高かったと思います。特にサイエンスとアートに力を入れていて,どちらもかなりハイレベルです。サイエンスビルには,実験室の数が尋常じゃないぐらいありましたし,何に使うのかよくわからない機器も沢山ありました。アートはアートで建物が別に建てられていて,演劇・彫刻・絵画・楽器・映画などなど,幅広い分野の科目がありました。このミューレンバーグ大学を卒業した俳優やミュージシャンなども社会で活躍しており,そのレベルの高さが伺えます。
ほとんど学生全員が大学内・近辺の寮かアパートに住んでいます。食事は,自炊することもありますが,朝昼晩食堂で食べたり,外食する生徒が多いです。大学主催のイベントや娯楽施設も大学近辺に沢山あるので,小さな大学でも生活するのに飽きることはない良い大学でした。
Q.どんな留学生活を送っていましたか?
詳細な留学生活はゼミのホームページのメンバー紹介にレポートがおいてあるので,そこをご覧になって下さい。
僕の留学生活のスタンスは,「外来者として生活すること」でした。郷に入れば郷に従えとはよく言いますが,せっかく外から来た者としての視点を忘れないようにすることも大切ではないかと思います。僕の場合は特に,誰とでもフラットに接することを心がけていました。アメリカ社会では,社会的な地位・身分という概念が非常に根強く生きていました。そんな中で,それが誰であっても,何の偏見も持たずにコミュニケーションが出来るというのは,社会の外から来た者ならば簡単に出来ることではないかと思います。皿洗いであれ,清掃員であれ,ギャンブラーであれ,投資家であれ,CEOであれ,僕が接しているのは紛れもない一人の人間でした。ただの一人の人間として,ただの一人の人間に接するということは,とっても難しいことですが実はとっても面白いことです。そういった意味で,留学は僕から全てを剥ぎ取ってくれましたし,僕は色付き眼鏡を日本に置いてくることができたのではないかと思います。
Q.1番思い出に残っていることは?
やはり,人とのコミュニケーションが一番の思い出だと思います。向こうで知り合った多くの人達が,家族や兄弟のように僕を扱ってくれました。自分の息子のように扱ってくれたり,家族の輪に取り入れてくれたりと,人の温かさをしみじみと感じました。そうして遊びにいったり,一緒に食事をしたりした思い出は生涯忘れないでしょう。
また留学中には,学校帰りの小中学生に自転車の修理を教えたり,一緒に遊んだりするボランティアをやっていたのですが,そのボランティアにある背景も印象的でした。そのボランティアの背景には,「放課後,家に親がいない子がドラッグなどの悪事に子供が手を染めないように」というのがあったのです。事実,子供たちと遊びにダウンタウンの公園に向かった時は,非常に閑散とした公園で悪事の匂いがぷんぷんしました。普段キャンパス内で生活をしていることが多かったため,キャンパスの外の社会を見ることができたのは印象に残っています。
余談ですが,一緒に遊んでいた小学生の女の子が,僕のことをジャッキー・チェンだと本気で思いこんでいたのを思い出して,何だか笑ってしまいました。
写真の笑顔を見ると本当に楽しんでいるのがよくわかるね。高澤くん,留学報告ありがとうございました!