今日は一般教育の荻野先生のお薦めの本の紹介をしてもらったよ!
最近,とみに読書欲が落ちてきているように思います。机の前では,仕事柄,史料はよく読みますが,研究書をじっくりと読む機会はずいぶんと減っています。
20代から30代にかけて,読まねばならない先行研究や名著とされるものは,追いかけられるような切迫した思いで乱読・多読しましたが,そうした読書で身につくものは少なかったようです。さらに自身の研究方向が固まっていくにつれ,その読書の範囲は狭まってしまいました。
出張の往復の時間や出張中の滞在期間などに,新刊の新書や文庫を読むのが,昨今の読書の中心です。膨大な新書・文庫の新刊ラッシュのなかで,実際に読みたいという気持ちを持たせてくれるのは,あまりないのですが。これは授業で使えそう,などという不純な動機からの読書もあります。
私自身が手を伸ばさないような本に接する機会として,家人の買ってくる,借りてくるものがあります。
『のだめ』(講談社)や『もやしもん』(講談社)は,そうしたきっかけで読み始めました。森絵都の諸作品もそうで,それ以来近所の図書館のYAコーナー(ヤングアダルトコーナー:中高生向き)のものをよく読むようになりました。金原瑞人(金原ひとみさんの父)の翻訳したものは,いずれも面白く読みました。
そして,たまに昼寝をする際に,いつも枕元にあるのが,土田よしこ『つる姫じゃーっ』(集英社)です。
ほとんど誰も知らないでしょうね。10年ほど前に文庫のコミックになったようですが,それも絶版とのこと。1973年から週刊『マーガレット』に連載されているが,当時はまったく知りませんでした。妻の持っていた愛蔵版全三巻で出会い,もう20年以上,繰り返し読んでいます。眠気がくるまでの数分間そのナンセンスなギャグにひたります。
「時代……てきとー 国……さむらいがでてくるからたぶん日本」という,いいかげんな設定で,「むかし むかし あるところにハゲ山を背にして うすぎたねーお城がたっておりました これを庶民はハゲマス城とののしっておりました」という出だしです。
当時『マーガレット』には「ベルサイユのばら」や「エースをねらえ!」が連載され,絶大な人気を誇っていましたが,そのかげで「つる姫」はけなげに存在感を発揮していたようです。これをみて,なつかしく思われる方,興味をもった方は,どうぞ古書で探してください。
この小文の意図は,「いろいろとたくさん読んでください!」,ということです。レポートのために無理やり読んだ本が,生涯の友になるかもしれませんよ。