今日は一般教育・物理学担当の杉之原先生にお薦めの本を紹介してもらったよ!
松永和紀『メディア・バイアス─あやしい健康情報とニセ科学』光文社新書
健康。すべての人の関心事だろう。健康でありたいと思わない人はいないはずだ。
でも、健康的な生活を送るのって、実は難しい。例えば、バランスの取れた食事が大切だってことは、誰でも知っている。だけど、ついつい脂肪がたくさん含まれているものを食べすぎてしまうものだ。だって、おいしいものって、たいてい脂肪が多いよね。
やべえ。こんな脂っこいものばかり食ってたら、メタボへの道をまっしぐらだ。
何気なくテレビをつけると、みの○んたがしゃべっている。「今日から、1日1個、りんごを食べましょう。そうすれば、いくら脂っこいものを食べても大丈夫!りんごに含まれているポリフェノールが、脂肪の吸収を抑えてくれます。これは実証済みです。」
そうか。りんごさえ食べとけばいいんだな‥‥って、ダメダメ、そんな簡単にうのみにしちゃ。
確かに、りんごにはポリフェノールが多く含まれている。けれども、その働きが、りんごに含まれるほかの成分によってじゃまされるかもしれない。それに、多いと言ったって、りんご1個分の量で十分かどうかはわかっていない。だからといってりんごを5個も6個も食べれば、ほかのものがあまり食べられなくなり、バランスの悪い食事になってしまう。これではかえって不健康だ。
メディアによって流されるこのようなあやしい健康情報や、いかにも科学らしく見えて実は全く科学でない「ニセ科学」などをバッサバッサと切り捨ててくれるのが本書だ。しかも、こういう情報にだまされないための心得まで教えてくれる。
自分はだまされやすいと思ってる人は必読。そして、自分はあやしい情報なんかにだまされるわけがないと思ってる人も、ぜひ一度、本書の目次を見ていただきたい。「これもあやしかったのか」と驚くような項目が並んでいるから。