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今日は,ドイツ語の大塚先生にお薦め本を紹介してもらったよ!



羽場 久美子著『拡大ヨーロッパの挑戦-アメリカと並ぶ多元的パワーとなるか』(中公新書1751 [780円] )



ドイツ語教師という仕事柄、ドイツ語圏やヨーロッパの社会動向はいつも気になりますが、中でもEU(ヨーロッパ連合)の動向には目が離せないものがあります。


ここにご紹介する本は、第二次大戦終結直後から今日に至るまでのヨーロッパの経済的・政治的統合のプロセスを国際関係論の立場から詳論しています。この今日のEUに至るプロセスはドイツ・フランス等の西ヨーロッパ諸国を中心に論じられることが多い中にあって、本書は原加盟国(15カ国)に加えて冷戦終結後それまでソ連圏に組み込まれていた中・東欧諸国(12カ国)が新たに加入してくる経緯を詳細に記述している点に特長があります。


まさにこのことによって、読者は今日のEUにおいて統一通貨ユ―ロを機軸としてダイナミックに展開される経済発展の舞台装置を成す人口4億8千万余の巨大市場の誕生のプロセスをつぶさに見届けることになるでしょう。それは同時に、政治・経済・文化・宗教上の多様・異質な背景を持った27もの加盟国を擁することとなったEUが、いかにしてルールの共有を通して異質な価値をも許容する多元的なシステムの構築に取り組んでいるかを知ることにもなるかもしれません。


実はこのEUの多元的なシステム構築への取り組みは、その環境問題への先導的な取り組みと並んで、グローバル化した世界が今後どうように生き残るべきか、どうすれば生き残りうるかという根源的問題にかかわるものと言えましょう。



    

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