刑法を教えている企業法学科の一原(いちはら)先生にインタビューしたよ!刑法って、自分とは関係ないと思ってたけど、そうでもないゾ!
Q:刑法って、どんな法律なんですか?
「何をしたら犯罪になるか」、「ある犯罪には、どのような刑罰が科されるか」を扱うのが刑法です。
Q:死刑も刑法ですよね?
はい、死刑も刑法で定められています。世界では死刑の廃止が問題になっていますが、日本の研究者の間では「死刑を廃止すべき」という主張が優勢のようですね。
Q:死刑を廃止すると、犯罪率がアップする心配はないんですか?
死刑を廃止した国では、廃止後に、犯罪が増加したということはないようです。死刑を廃止すべきという流れの背後には、「いかなる理由があろうとも、国家が国民の命を奪うということは許されない」という考え方があるように思います。
Q:話は変わりますが、先生は六法を全部覚えているんですか?
いえいえ、法を学ぶときには、法律の条文を覚えることよりも、「いかに法律を解釈するか」が大切になります。法律学は、「実際に問題を解決しようとするときに、どのように法を使えばよいか」を考える学問ですから。
Q:日本でも裁判員制度が始まりますが、アメリカの陪審員のようなものなんですか?
アメリカの陪審員制度は、陪審員である民間人が協議して「有罪か無罪か」を判断し、その後、裁判官が具体的な刑罰を決めるという制度です。これに対し、日本の裁判員制度は、これまで裁判官が行ってきた、「有罪か無罪か」の判断と刑罰の決定を、一般国民が行う制度です。
Q:えっ?裁判官の仕事をするんですか?
そうです。ですから、一般の人が死刑を言い渡すこともあるのです。民間人が死刑を言い渡す制度があるのは、日本くらいじゃないでしょうか。ただ、裁判員はプロである裁判官とともに仕事を行います。
Q:なんだか気が重いですねー。
一生のうちに一度、裁判員に選ばれる確率は、「4160人に1人」と言われています。ただ、裁判員制度が導入されることがきっかけとなって、これまで「自分とは関係ない」と思われてきた死刑制度などについて、一般の人も真剣に議論しなければいけない状況になったのではないでしょうか。
Q:最後になりますが、先生はなぜ刑法の研究者になろうと思ったんですか?
中学・高校の授業で死刑制度や冤罪について議論する機会がありました。そのとき「なぜ冤罪が起きるのか」を知りたくなったんです。「検察官になればわかるのでは」と単純に考えて、法学部に入りました。勉強するうちに、だんだんと刑法の中身に関心を持つようになりました。
Q:ありがとうございました。