- <担当授業>学部:英語I、英語II、英語科教育法II、英語上級IV
- 大学院:学術英語II、研究方法論
武部 エイミー准教授
TAKEBE, Amy
防災×応用言語学
私の専門分野は応用言語学と英語教育です。
応用言語学は、言語学の知識を基に、バイリンガル教育、言語教員養成、外国語学習のモチベーション、方言、敬語、マスメディアコミュニケーション、言語と社会的アイデンティティの構築等々、言語にまつわるあらゆる社会的現象を研究する分野です。私は、防災について英語教育、マルチモーダル談話分析、そして社会言語学の3つの観点から研究しています。
災害の起こりやすい国土であり、多言語・多文化社会の日本において、災害時の多言語支援ボランティアは必要不可欠な存在です。私は、災害時に英語での支援が必要な方々のために活躍できる言語ボランティアを育成するための防災英語カリキュラム開発の研究をしています。また、「災害警報」という非日常的なコミュニケーションはどのように構築されるのかを避難の呼びかけのパターン、声の速度、声のトーン、視覚情報の映像、文字のレイアウト、色、などの複数の(multi-) 記号資源(semiotic resources)に着目し、マスメディアの英語と日本語の災害警報も研究しています。
応用言語学の面白さと責任感
私は、日本生まれ・日本育ちのアメリカ人です。幼いころから地震、津波、台風、大雪など様々な自然災害を日本で経験してきました。2016年4月に熊本地震が発生した際に、前任校で当時の教え子が北海道から熊本在住の英語話者を対象に英語で災害情報を発信するボランティアをすることになり、それを手伝ったことがきっかけで、「災害x応用言語学」という研究課題に興味を持ち始めました。
応用言語学の面白いところは、言語にまつわるあらゆる社会的現象を研究する分野なので、他の研究分野に通ずる研究ができることが魅力の一つかと思います。
私は、2017年に米国オクラホマ州立大学応用言語学研究科博士課程に入学し、2019年から2023年まで米国で災害を研究する博士課程の大学院生をサポートするBill Anderson Fundに所属していました。(現在は、Bill Anderson Fund Alumni Networkに所属しています。) そこで、社会学、人類学、都市計画、エンジニア、公衆衛生学、など多種多様な分野から防災・減災に取り組む同志と出会う中で、一概に「災害」といっても様々な専門分野からアプローチできることを実感しました。Bill Anderson Fundのフェロー達との出会いは、応用言語学的観点からの災害研究の必要性も実感し、私たちの生活に密接する防災について責任感をもって研究する覚悟も生まれました。
学生や地域の皆様と共に進める研究課題
上述しましたように、応用言語学の魅力は、他分野にも通じる研究ができることです。
2024年には、デザイン分野を専門とする様々な国の研究者らが編集した本に私も日本のテレビの津波警報ついて1章執筆しました。(ページ下部のリンクを参照)
また、2023年度末から札幌外国人災害支援ボランティア(Sapporo Assistance for Foreigners in Emergencies, 通称SAFE)の活動にも参加しています。この団体は、札幌国際プラザが災害時に発足する災害多言語支援センターの管轄の下、日本人と外国人が協力して外国語で情報発信や避難所巡回などをして多言語の支援が必要な方々をサポートする団体です。
これらの活動を通して私の研究課題は、学生や地域の皆様と共に進める研究課題でもあると考えています。(ページ下部のリンクを参照)
商大生は真面目でユニーク
商大生は、真面目でユニークな考えを持っている学生が多いという印象です。
共通科目の英語の授業の課題の一つに、学生に架空の会社を考え、様々な社会的アイデンティティを考慮した上で、その会社の中にある部署の服装の規則(ドレスコード)を英語でプレゼンする課題があるのですが、たとえ架空の会社であろうとも綿密かつユニークに会社の概要を考えてきて、さすが商大生だな、と毎回その課題を実施する度に思います。
また、私は教職に関する科目の「英語科教育法II」も担当しており、教員免許取得を目指す「未来の英語の先生」にも授業を通して出会えていることは現役英語教員として感慨深いです。彼らが思う教師像に寄り添いながら、授業内で扱った理論、また私の立場からの意見を交えながら行うディスカッションは毎回楽しいです。
光り輝く星の一部に
小樽商科大学を表す言葉に「北に一星あり 小なれどその輝光強し」という言葉があります。皆さんが、この小樽商科大学で授業、留学、卒論研究やサークル活動などを通して光り輝く星の一部になることを心から楽しみにしております。
関連リンク