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2020.09.24

令和2年度学位記授与式(9月卒業) 学長告辞

告 辞

 皆さん、ご卒業おめでとうございます。本学の教職員を代表してお祝いの言葉を送りたいと思います。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界が大きく変化しました。日本でもまだ収束に至っていません。一方、世界をみると依然として感染が拡大しています。治療薬やワクチンの開発が急がれていますが、まだしばらく時間がかかるものと思われます。

 このような状況の中、本学でも前期はすべての科目が遠隔授業となりました。これは皆さんにとっても、そして私たち教職員にとっても初めての経験でした。昨年から、すでに一部で遠隔授業の準備をしていましたが、すべての科目を遠隔授業にするにあたって、学生の皆さんの通信環境の確認や先生方への研修など約1か月をかけて準備を進めました。前期の授業は5月7日からとなり、例年に比べ1か月遅れとなりました。皆さんも慣れない遠隔授業への対応に苦慮されたことと思います。

 新型コロナウイルスは私たちの生活を大きく変えました。ソーシャルディスタンスの確保、マスクの着用などの身近な生活習慣の変化もありますが、皆さんが経験した大学での遠隔授業の導入、そして多くの会社が実施したテレワークなどはこれまでの学びと働き方を根本的に変える可能性があります。

 後期は遠隔授業と対面授業が混在する形になります。コロナ禍が収束した後も遠隔授業がなくなることはないでしょう。多くの人が時間や場所の制約を受けずに学ぶことができる遠隔授業はこれからも一定の役割を果たすことになるでしょう。海外ではすでに多くの大学で遠隔授業が行われていました。日本はようやく今回の新型コロナウイルスの感染拡大により世界の教育の潮流に追いついたといえます。

 働き方についてもテレワークの導入により、大きく変わり始めました。大学でも緊急事態宣言下でテレワークを導入しました。突然の導入のため本学だけでなく、多くの職場ではTV会議や通信環境の整備に苦労しました。一方で通勤する必要がなくなり、時間的、そして体力的に余裕ができるなどのメリットも明らかになりました。デジタルを活用した働き方が一気に進みました。就職が決まっている方はこれから変化する働き方を身をもって感じるかもしれません。

 一方で、人と人が直接コミュニケーションをとることの重要性も再認識されました。遠隔授業やTV会議では視覚と聴覚だけを使っています。しかし人間は五感を通じて様々な情報を手に入れています。また、公式の意見のやり取りだけでは重要な付随的な情報が欠如してしまうこともあります。

 私たちは今、デジタルとリアルの双方の利点をうまく組み合わせ、コミュニケーションや学習や仕事の質を高めていく時代に突入したといえます。また、これは個人の能力やスキルの重要性が増したことを意味します。日本における集団主義的な行動も徐々に変化することでしょう。そして継続的な学びが必要となります。大学で勉強したことがそのまますぐに社会に出て使えるものではありません。大学で学んだことを基礎に新たに仕事を通じて必要となるスキルを身に着け続けなければなりません。

 大きく変化する時代です。皆さんのような若い世代がこれからのポストコロナ時代の先頭に立って活躍して頂きたいと思います。

 最後になりますが、今回のコロナ禍でアルバイトなどがなくなり、生活に困窮した学生もいました。これに対し、本学の同窓会である緑丘会そして後援会から緊急の支援を頂き、奨学金として困窮した学生に支給することができました。本学の同窓会の母校愛はどの大学にも負けないものと確信しています。皆さんにも是非この精神を受け継いで頂きたいと思います。

                             国立大学法人小樽商科大学学長 穴沢 眞

 

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