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2018.09.21

平成30年度学位記授与式(9月卒業)学長告辞

みなさん卒業まことにおめでとうございます。今年の秋は学部生7名が、ここ緑が丘を去られます。私ども教職員は、みなさんとともに過ごしたことを誇りに思います。

今、日本の大学は、大変厳しい状況にさらされています。

背景の一つは、人口減少・少子高齢化です。子供が少なくなるということは、大学に進学する若者も少なくなることを意味します。そのため、学生を集めることができない大学が増えている。18才人口が減少し続けることは分かっていましたが、大学はこれに十分対応できなかったということであります。

もう一つは、平成の時代になってからの急激な社会構造・経済構造の変化です。通信技術とインターネットの発展は、人々を国境や文化を超えて結びつける一方で、対話を許容しない排斥と差別を容易に生み出す社会を作り出してきました。そして、あらゆる情報がネットで繋がれ、集積されたデータをもとに人工知能(AI)が結果を予測するという時代が到来しようとしています。AIは、われわれの仕事やビジネスのありかたを根本的に変えるだろうと言われています。大学はこのような社会の変化に対応できているのか、不確実な時代を生き抜く人材を育成できているのかが問われているのです。

みなさんが学んだ小樽商科大学の百年を超える歴史は、まさに、社会の変化を見据えながら、商科系の大学として果たすべき役割、教育研究のありかたを追求してきた歴史であります。

小樽商科大学は実学重視の教育を進めてきました。現在は、特定の分野で専門を深めると同時に人文社会・自然科学、外国語など幅広い分野の知識を修得するカリキュラムを用意しています。そして、これら知識の獲得に加えて、社会での実践や体験、留学による異文化交流、様々な分野で活躍する社会人との交流等を通じて、課題に取り組む意欲、学ぶ力を育てることに努めてきました。

みなさんは、それらを十分に利用し、知識、能力、態度を身につけて卒業されることだと思います。私は、この数年、本学の学生が、ゼミナール、課外活動、学生ベンチャーなど様々な分野で、受賞したり社会で高く評価される姿を見て、大変心強く感じております。卒業後も実学精神を発揮して一層活躍してくれることを期待しております。

アメリカの著名な経営学者・思想家であるピーター・ドラッカーは、1985年に著した「イノベーションと企業家精神」という本のなかで、当時の社会状況を見通した上で、これから求められるのは、イノベーションと企業家精神(アントレプレナーシップ)が当たり前のものとして存在し継続していく「企業家社会」であるといっています。この予測は、まさに今の社会にも当てはるように思います。

ドラッカーの考えの背後にあるのは、おそらく、個の力、一人一人の努力と生き方の重要性です。そしてドラッカーは、「企業家社会」は継続的学習を必然のものとする、学習は青年期、社会人になったとき完了するものとする考えは誤りであると言い、学び続けることの重要性を強調しています。一人一人の人間が、自らの人生において、自らの意志によって、さまざまなキャリアを探し進んでいくことになると言っています。

私も、最後に、同じことをみなさんにお伝えしたい。科学技術は、われわれの予想を超えて進展しています。既存の分野を融合した新しい技術や考え方が次々と生み出され、社会に変化と多様性をもたらしています。その中で生きていくためには、変化への対応力、多様性への適応力が求められます。みなさんが小樽商科大学で身につけた能力・意欲は、これからの人生に必ず役に立つと確信しています。それと同時に、大切なことは、卒業した後も、常に学ぶ態度を持ち続けそれを実行することです。

小樽商科大学は、卒業生(OB・OG)が現役学生を支援することの熱心さでも全国有数の大学です。みなさんのなかには、在学中に、同窓会・緑丘会から様々な支援を受けた人がいるはずです。そして、この関係は卒業後も続くと思います。ですから、今度はみなさんが後輩のために支援をしてあげてください。

 

みなさんのご健闘をお祈りしています。

 

           平成30年9月21日            国立大学法人小樽商科大学学長 和田健夫

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