国立大学法人化後の大学評価について
大学改革の必要性はかなり古くから叫ばれていたのですが,この流れが加速したのは,やはり90年代に入ってからのように思われます。80年代の終わりから,大学審議会を中心に次々に答申が出され,それが90年代初めから徐々に実施に移されて改革が進められてきました。
改革の主眼は,構造改革の中心課題とも言うべき「規制緩和」でありました。そして,それは,大学においては,国の大学に対する,あるいは高等教育システムに対する規制の緩和を意味し,その中核は大学設置基準の見直しでした。設置基準を大綱化し,教育課程の編成を各大学の判断に委ねることがそのねらいでしたが,反面,各大学は自己点検・評価の努力をすべきということで,特に,国立大学においては,自己点検評価報告書の提出が義務づけられました。すなわち,「規制緩和」は,「事前規制から事後チェックへ」と大きく流れを変えていったのです。
国立大学の法人化は,そのひとつの表れでした。法人化は,従来,国の機関としての厳格な制約の中で,硬直的,画一的な運営をしてきた国立大学を改め,大学の自由度と裁量の幅を拡大することで教育・研究の活性化を図るのが最大の目標であったのですが,そのためには新しい「質の保証」が必要とされたのです。この質を保証する装置こそが,大学評価システムに他なりません。
この評価システム自体は,先にも触れたように設置基準の大綱化以降続けられてきたのですが,法人化後は,それが一層強化されました。特に,文部科学省に設置される国立大学法人評価委員会が,各事業年度に係る業務の実績に関する評価(年度評価)と6年毎に定める各大学の中期目標の達成度に関する評価を行い,その結果が大学への予算配分に反映される仕組みとなりました。さらに,2002年の学校教育法の改正で,国から認証を受けた評価団体による評価(認証評価)の制度が導入され,大学は国公私を問わず7年以内に「教育研究等の総合的な状況について」,認証評価機関の評価を受けなければならないこととされました(専門職大学院については5年以内)。
日本の大学は,まさに,一気に大学評価時代に入ったと言えます。
本学でも,自己評価委員会(現在は大学評価委員会)を中心に,平成4年度以降,自己点検・評価,学外有識者による外部評価,大学評価・学位授与機構による第三者評価に対応するための膨大な作業を精力的に行ってきており,その結果については,今までに公刊された「北に一星あり」に収録されているとおりです。
法人化後は,国立大学法人評価委員会による年度評価と6年に1度の中期目標に係わる業務実績評価,7年に1度(ビジネススクールについては5年に1度)の認証評価を受けることになるわけです。
具体的な評価基準やプロセスは,まだ明らかにされておりませんが,いずれにせよ,これら一連の大学評価が,本学のこれからの運営にとって,財政基盤を確立し,また社会的な知名度を確保する面でも大変重要な意味を有するであろうことは間違いないでしょう。
したがって,日頃から大学評価を念頭に置いた学内運営を心がけ,それを踏まえた評価報告書の作成作業に,相当な努力の傾注と多くの時間配分を覚悟しなければなりません。
学内教職員の皆さんには,以上のような評価制度導入の意義と機能を充分にご理解いただき,学内運営に対するなお一層のご協力をお願いする次第です。
目次 (表紙及び目次:PDF形式)
まえがき 国立大学法人化後の大学評価について(PDF形式)
第1章 大学評価と本学の対応(PDF形式)
第2章 平成16年度における大学評価委員会の活動について(PDF形式)
第3章 「本学における研究評価の在り方」について(PDF形式)
第4章 国立大学法人小樽商科大学大学評価実施規程等について(PDF形式)
国立大学法人小樽商科大学大学評価実施規程
自己点検・評価の実施事項及び評価項目
自己点検・評価の実施事項及び中期計画との対応
国立大学法人小樽商科大学
独立行政法人大学評価・学位授与機構
大学評価委員会名簿及び開催記録
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