第437号(平成31年1月1日発行)
年頭のご挨拶
新年あけましておめでとうございます。
平成の時代も終わりに近づいています。21世紀を迎えたこの30年は、成熟社会を揺るがす大変化の時代でした。グローバル化、人口減少、地方の衰退は、平成になってその深刻さが明白になってきました。度重なる経済変動は、人々に格差社会の到来を認識させるようになりました。特徴的なのはデジタル化の進行です。IoT・ビッグデータ・AIの急激な発達は、革新的なビジネスモデルを生み出しただけでなく、社会のありかたも変えつつあります。さらに、想像を絶する災害(大地震、水害、津波、火山噴火、原発事故等)に見舞われた時代でもありました。自然の怒りの前に科学の無力さを思い知らされ戸惑うばかりです。
この先何がわれわれを待っているのか。変化がもたらした多くの課題に立ち向かうためには、新しい思想・価値の創造、新しい科学技術の開発、イノベーションの創出、そしてなによりも複雑な社会を支える人材の育成が必要です。そのため大学の教育研究能力には大きな期待が寄せられています。
小樽商科大学は、戦後、単独で新制大学に移行するという異例の道を選んだために、当初は総合大学に見られたような国の十分な支援を受けられず、歴代の学長は大変苦労されたことが、『小樽商科大学百年史』(805頁)に書かれております。しかし、開学以来の伝統を見失うことなく、社会の変化や要請に対応しつつ使命を果たしてきたことが今日の姿を支えていることは確かです。
これからの小樽商科大学にも同じことが言えると思います。本学は現在、「グローカル人材育成」をめざし、「グローカル戦略推進センター」を設置して、カリキュラム改革(佐野力海外留学奨励金事業、グローカル・マネジメント副専攻プログラム、グローカル・コース、ギャップイヤー・プログラム等)やリカレント教育、文理融合型大学間連携、アクティブ・ラーニングの開発・普及で社会科学系大学の先導的役割を果たしています。
本学と帯広畜産大学、北見工業大学が発表した経営(法人)統合も、変化への対応の一つです。この度、経営改革を支援する国からの補助金事業に採択されました。連携による教育研究を推進するための体制作りがすでに始まっております。
2019年が、皆様にとり、良き年になりますようお祈り申し上げます。
小樽商科大学長 和 田 健 夫
ゆめぽーとライブ第25弾を開催
平成30年11月22日(木)、本学付属図書館において、ゆめぽーとライブ第25弾を開催しました。
はじめに、大阪大学名誉教授の生田美智子先生より、小樽高商(大正8~11年)及び大阪外国語学校(後の大阪外国語大学→大阪大学)でロシア語教師を勤めた言語学者・民俗学者のニコライ・ネフスキーについての講演がありました。
前日に撮影したばかりというイソ夫人の故郷・積丹町入舸村近辺の写真なども交え、小樽の地でのネフスキー青年の孤独、愛する夫人との出会いなどが生き生きと語られる大変興味深い講演でした。
また、本学グローカル戦略推進センターの高野宏康研究員より、9月に開催された音楽朗読劇「島へ ニコライ・ネフスキー 人生の旅」を契機に、イソ夫人のご親戚より市立小樽図書館へ寄贈された新出資料について報告がありました。
さらに、司会を務めていた醍醐龍馬准教授からも、「ロシアのネフスキー」と題し、ロシア科学アカデミー所蔵のネフスキー関連の資料についての紹介がありました。
初雪から突然の大雪と寒波にもかかわらず、学内外から40名がご参加し、講演終了後には積極的な質疑応答が行われるなど、大盛況の内に幕を閉じました。
【日 時】平成30年11月22日(木)18:00~19:30
【会 場】小樽商科大学附属図書館
2階閲覧室 教育情報発信・地域連携スペース
【講 師】生田美智子・大阪大学名誉教授
【演 題】ネフスキーと小樽
【調査報告】『ニコライ・ネフスキーとイソ夫妻に関する新出資料について』
報告:高野宏康・小樽商科大学グローカル戦略推進センター(CGS)
地域経済研究部 学術研究員
【司 会】醍醐龍馬・小樽商科大学 一般教育系准教授
【参 加 費】無料
講演の様子 | 講演の様子 |
フィンランド国Demola Global社CEOが表敬訪問
平成30年11月30日(金)、Demola Global社(フィンランド国)からVille Kairamo CEOが来学し、和田学長を表敬訪問しました。
本訪問は、今年度より本学ビジネススクールと北海道大学の合併講義として開講しているDemolaプログラムに関して、本学、Demola Global社及び北海道大学の3者で提携同意書の締結を行うため、実現したものです。
学長室では、共に同意書を締結する北海道大学側から杉村産学協働マネージャー等が、本学側からは学長ほか玉井アントレプレナーシップ専攻長等が同席し、Demolaプログラムについてさまざまな意見交換が行われ、今後更なる活発な連携を互いに行っていくことが確認されました。
意見交換の様子 | Ville CEO(右)と和田学長(左) |
北の四大学ビジネスプラン発表会2018を開催
平成30年12月15日(土)、北海道と共同で、「北の四大学ビジネスプラン発表会2018-北の大地を大学連携で結ぶ-」を北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)にて開催しました。
この発表会は、専門分野が異なる、公立はこだて未来大学、北見工業大学、帯広畜産大学と本学がそのネットワークを活かし、各大学で学ぶ学生達が取り組んでいる、北海道の地域貢献・技術振興に関わるプロジェクトやその成果を発信することを目的に、2015年から毎年開催しているものです。
開会にあたっては、本学 和田健夫学長と、北海道 副知事の阿部啓二氏からご挨拶を頂きました。
その後の発表会では、各大学がそれぞれの特長を生かした発表を行う中、本学から参加した江頭ゼミは、昭和50年代の小樽の風景を8,000枚以上も撮影されていた写真家、兵庫勝人氏の貴重な写真を活用したノベルゲームによる地域観光課題の解決について発表を行い、最優秀賞を受賞しました。
そのほか、後援機関による各賞が授与され、サッポロビール賞は帯広畜産大学が、セコマ賞は公立はこだて未来大学が、日経新聞札幌支社賞は北見工業大学がそれぞれ受賞しました。
各大学のビジネスプランの発表のあとには、株式会社セコマの代表取締役社長、丸谷智保氏による「北海道の未来を拓く、新たな挑戦を!」と題した講演があり、参加の皆さんは丸谷社長の興味深いお話に引き込まれていました。
ビジネスプラン発表 | 表彰式 最優秀賞 江頭ゼミ |
開会挨拶 和田学長 | 開会挨拶 北海道副知事 阿部啓二氏 |
教職員学生指導研究会を開催
平成30年12月19日(水)、第45回「教職員学生指導研究会」を開催しました。
この研究会はFD・SD活動の一つと位置づけられており、本学教職員が学生指導に関わる新しい知識を吸収し、日常抱える諸問題について検討、情報交換を行うことによって学生指導業務の充実を図る目的で毎年開催しており、当日は、和田学長、鈴木教育担当副学長を含む多くの教職員が参加しました。
今回の本研究会は、一般社団法人LGBT理解増進会から繁内幸治氏を講師に招き、「性的指向・性自認の多様な在り方の理解増進」と題して、LGBTに係る現状と課題についての誤解を解きつつ、基本的人権とリスクマネジメントの観点から講演がありました。
講演後は活発な質疑応答が行われ、本学におけるLGBTの理解増進に向け、大変実りあるものとなりました。
講演の様子 |
「平成30年度第2回サロン・ド・ホッカイドウ」を開催
平成30年12月21日(金)、北海道庁本庁舎7階共用会議室にて、「平成30年度第2回サロン・ド・ホッカイドウ」を開催しました。
本イベントは本学グローカル戦略推進センター研究支援部門が開催したものであり、今回は、北海道庁、小樽商科大学から24名の参加がありました。
プラート カロラス教授のテーマは「国際観光客ミックスが観光体験へ与える影響:ニセコスキーリゾート客の「生の声」を基に今後のインバウンド観光のあり方を考える」でした。2015平成27年1月にニセコ地区で実施したアンケート調査の結果を紹介し、訪日観光客の急増によって生じた課題を示唆しました。今後の北海道観光のあり方として日本と世界の観光客のバランスのとれた顧客ミックスが賢明な戦略であろうとし、国内外観光客の共存のあり方について、参加者と意見交換が行われました。
スピーチするプラート カロラス教授 | 会場の様子 |
本学の「寄附金サイト」をリニューアルしました
本学の「寄附金サイト」を大幅にリニューアルしました。
経済的な理由により修学が困難な学生に財政的な支援を行う「教育振興基金」、学生の自由闊達な活動をサポートするための「修学支援基金」の他、「一般のご寄附」「遺贈によるご寄附」「税法上の優遇措置」「ご寄附のお申込み方法」等について、わかりやすく紹介しています。
【寄附金サイト】
江口修名誉教授がフランス教育功労勲章「パルム・アカデミック」を受章
本学名誉教授の江口修教授が、フランス教育功労勲章「パルム・アカデミック」のシュヴァリエ(Chevalier)を受章し、叙勲式が11月14日に札幌北広島クラッセホテルにおいて挙行されました。
フランス教育功労勲章は、1808年にナポレオンによって創設され、高等教育をも含む教育全般に携わる人に与えられる勲章で、特にフランス語教育やフランスの学術研究を積極的に日本へ紹介した人、または日仏文化交流に寄与した人を対象としています。
江口名誉教授は、本学において37年の永きにわたりフランス語教育に携わったこと、また、札幌アリアンス・フランセーズ(フランス外務省認定の語学教育機関)の継続・発展に尽力し、フランス語・フランス文化の伸長へ多いに寄与したことが認められ、今回の受章となりました。
【関連リンク】
平成30年度国立大学改革推進補助金(国立大学経営改革促進事業)の実施事業者として採択されました
小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学の三大学は、文部科学省が実施する平成30年度国立大学改革推進補助金(国立大学経営改革促進事業)の実施事業者として採択されました。
この補助金は、国立大学の経営改革の実装を実現・加速し、国立大学のモデルとなり得る意欲的で先進的な取組に対して、平成30年度(2018年度)から最大4年間支援されるもので、今年度は全国で7事業が採択されました。
今回三大学が採択された補助金事業「北海道内国立大学法人の経営改革の推進」は、2022年4月に三大学の法人組織を経営統合して新法人「国立大学法人北海道連合大学機構(仮称)」を設立し、社会に開かれた経営体制を構築して、「商学」「農学」「工学」の実学を担う三大学がそれぞれの強み・特色を生かしながら社会のニーズに即した教育研究機能を連携強化し、新時代に求められる高度専門職業人材、北海道地域の発展に資する人材輩出、産学官連携の推進による企業等との共同研究を促進することにより、北海道経済・産業の発展のための「知の社会実装」の推進に貢献しようとするものです。
三大学は、平成30年(2018年)5月29日に「経営改革の推進に関する合意書」を締結し、18歳人口の減少、産業構造の変化等の高等教育を取り巻く状況に対応し、北海道経済・産業の課題解決とその発展及び国際社会の繁栄に一層貢献するため、三大学が協働により経営改革を推進することに合意しているところですが、このたびの補助金採択により、三大学は構想の実現に向けて本格的に始動していくこととなります。
また、文部科学省において、これまでにない「国立大学の一法人複数大学制度」の創設に向け外部有識者による検討が現在進められており、三大学の取組は、国立大学の新たな形としてのモデルケースとなることが期待されています。
事業の概要は、こちらをご覧ください。
合意書締結に関する記事は、こちらをご覧ください。