第394号(平成24年2月発行)
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人事異動 人事異動 |
諸報 |
■トリボン読書会第6弾を開催 |
■FDコラム |
規程改正 小樽商科大学理事の事務担当に関する規程の一部改正 小樽商科大学地域貢献推進委員会規程の一部改正 小樽商科大学教員昇任人事規程に関する申合せの一部改正 |
主要日誌 平成24年 1月主要日誌 |
行事予定 平成24年 2月行事予定表 |
トリボン読書会第6弾を開催
附属図書館では,12月15日(木)午後5時30分より,アメニティコーナーにおいて,第6回目の「トリボン読書会」を開催しました。
今回は,附属図書館司書の森本妙子が「日本賛辞の至言33撰: 世界の偉人達が贈る」を取り上げ,学生,教職員8名の参加がありました。
スライドも交え,著名人が語った日本を賞賛することばなどを紹介した後,参加者とともに日本や日本人のよい面,他国との違いなどが語り合われました。
参加アンケートでは「図書も興味深いし,色々な人の話を聞けて楽しかったです」「日本について,あらためて考えてみようと思いました」「温かい雰囲気がとてもよかったです。学生,教職員の交流の場だなあと感じました」などの感想が寄せられました。
(説明をする森本さん(写真中央)) | (意見交換の様子) |
FDコラム
学生による授業評価アンケートを廃止すべき16の理由
~学生授業評価に関する教員の「神話」~
教育開発センター助教 辻 義人
学生による授業評価アンケート(以下,学生授業評価)は,今日の大学における代表的なFD活動である。学生授業評価の広まりは,2008年の大学設置基準の改正にともなう学士課程教育でのFD活動の義務化にさかのぼる。その翌年,文部科学省は学生授業評価の実施率の調査を行った。その結果,全国の大学における調査実施率は約80%であること,また,未実施の大学においても,そのほとんどが実施を計画していることが報告されている(文部科学省, 2011)。
近年,学生授業評価のあり方をテーマとした研究会・交流会が活発に開催されている。多くの大学の事例報告によると,学生授業評価は必ずしも大学教員に歓迎されていないことが伺える。むしろ,膨大な時間と労力をかけて調査したところで,教員による批判ばかりが目立っている。学生授業評価の目的は,学生の授業に対する意見を収集し,教員が授業を改善する手がかりとすることである。本来,教員にメリットが得られるはずの調査に対して,否定的な意見の割合が高いのはなぜなのだろうか。
この点について,大学教員の学生授業評価に対する先入観の問題があるものと考えられる。Aleamoni(1999)は,過去74年間にわたる学生授業評価の調査結果を検討し,教員が陥りやすい思い込みを「神話」として16項目にまとめている。Aleamoniによると,過去の多くの先行研究でこれらの「神話」が否定されており,少なくともこれらの主張は,学生授業評価を廃止すべき論拠にはならないことを指摘した。以下に,16項目を示す。
1.学生は未熟で経験に乏しく気まぐれであるため,授業を正当に評価できない。
2.その分野において優れた研究業績と専門知識を持つ教員のみが,ピアレビューを行う資格がある。
3.多くの学生はフレンドリーなだけの教員を高く評価しており,学生授業評価は人気投票に過ぎない。
4.授業に対する正しい評価は,学生が大学を卒業して数年経たないと不可能である。
5.学生授業評価に用いられるアンケートは,学術的に信頼できない。
6.授業の受講者数が,学生の評価に影響を及ぼす。
7.教員と学生の性別で,授業に対する評価が影響を受ける。
8.授業の開講時間帯が,学生の授業評価に影響を及ぼす。
9.必修科目か選択科目かによって,学生の授業評価は異なる。
10.学生の専攻科目かそうでないかによって,学生の授業評価は異なる。
11.学年間で学生の授業評価は異なる。
12.教員の職位(教授,准教授,講師など)で,学生の授業評価は異なる。
13.成績が優秀な学生ほど,授業や教師を高く評価する。
14.学問分野によって,学生の授業評価の基準は異なる。
15.授業評価を行うには,一つの質問項目があれば十分である。
16.学生授業評価では,授業を改善する手がかりは得られない。
Aleamoniによると,ほとんどの先行研究では,これらの16項目が否定されており「教員による思い込み」に過ぎない。ただし,上記の結果は,日本とは教育的背景が異なる海外FD調査であること,また,時代背景が異なることから,そのまま鵜呑みにすることは不適切と考えられる。これらの指摘が本学においてもあてはまるかどうか,検証する必要があるだろう。
学生授業評価は,適切に実施することで授業改善の手がかりが得られる。例えば,適切なアンケート項目の設計,迅速な教員へのフィードバック,評価結果に対する教員の所見の公開,今後の授業改善の方向性の明示など,本学においても検討すべき課題が多く残されている。学生と教員の両者にとって意味のある調査とするために,今後も継続した学生授業評価の実施と見直しが求められている。
(引用文献)
Aleamoni, L.M.(1999)Student rating myths versus research facts from 1924 to 1998, Journal of Personal Evaluation in Education, 13, 2, 153-166
文部科学省(2011)大学における教育内容等の改革状況について(概要), p.22-23
平成24年1月主要日誌
平成24年2月行事予定