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ジェレミー・ベンサム 「自筆書簡」
Jeremy Bentham. Autograph letter, signed, to Charles Bunbury, June 17, 1803

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書簡(便箋1枚、表裏)
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 ジェレミー・ベンサムとこの書簡について

 ジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham, 1748-1832)は、功利主義を主張した高名なイギリスの哲学者である。ロンドンで生まれ、はじめ弁護士、その後、民間学者であった。著作「注釈についての注釈」(1776年)、「道徳および立法の原理の序論」(1789年)などがある。

 彼は弟と協力して理想的刑務所「パノプティコン」(Panopticon)を設計した。当時の刑務所は、施設が非人道的で、むしろ罪人を苦しめ殺すための収容所であった。不必要な苦しみを与えることを悪と考えるベンサムは、刑務所をもっと人道的かつ能率的にし、囚人に労働させつつ、最小費用で監督ができるよう、円形の刑務所を考えた。中央の一番高い所に監視所があり、ここから一人の看守が多くの囚人を監督するのである。そして、囚人の死亡率が減少すればそれだけ管理者の収入が増す、という案である。パノプティコンは、理想の監獄建築、一望監視施設である。ギリシャ語の、パン=汎、オプティ=視、オプティコン=見張り台から名づけた。

 なお、ベッカリーア(1738-1794)の「犯罪と刑罰」(1764年)が、ベンサムの監獄改革論に影響を与えた。またすでに同書の第一章序論で、「最大多数の最大幸福」が述べられている。

 ベンサムは、この計画の実現のために、この書簡で言及されている内相ペラム卿をはじめ、さまざまな働きかけを行った。この1803年6月のチャールズ・バンベリー宛の書簡では、ペラム内相への運動の失敗について論じており、ベンサムの失望感があわらている。

 王党派から急進派を標榜するにいたった彼の政治的変貌の背景には、政府官僚に対する幻滅が指摘されるが、パノプティコンをめぐる確執も、彼の思想が新たな展開を示す重要な契機の一つとみなせる。この書簡は「書簡集」第7巻に収録されているが、大英博物館所蔵の写しにもとづいており、このオリジナルによるものではない。

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