科目一覧へ戻る | 2025/03/14 現在 |
科目名/Subject | 政治学I(夜間主コース) |
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担当教員(所属)/Instructor | 大庭 大 (商学部) |
授業科目区分/Category | 夜間主コース 共通科目 |
開講学期/Semester | 2025年度/Academic Year 前期/Spring Semester |
開講曜限/Class period | 金/Fri 7 |
対象所属/Eligible Faculty | 商学部夜間主コース/Faculty of CommerceNight School |
配当年次/Years | 1年 , 2年 , 3年 , 4年 |
単位数/Credits | 2 |
研究室番号/Office | |
オフィスアワー/Office hours |
更新日/Date of renewal | 2025/02/25 | ||
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授業の目的・方法 /Course Objectives and method |
本科目は現代政治理論(政治哲学)の授業である。講義では、リベラリズムとフェミニズムという2つの理論潮流の基礎を学ぶと同時に、政治理論を思考のツールとして社会の緒問題について考えられるようになることを目指す。 リベラリズムの理論は、個人を本質的に自由・平等で理性的な存在とみなし、そのような個人間での普遍的かつ不偏的な合意が成立しうるような正義の構想を探求する。(ここで「正義」とは広義の社会制度がどのようにあるべきかに関する基準のことである。)これに対してフェミニズムの理論は、第一義的には女性の、より広くは性別(ジェンダー、セクシュアリティ)上のマイノリティに対する社会的抑圧を解明しまた廃絶することを目指す。フェミニズム理論はまた、人種や障害などに基づく差別や社会的不利について考えるための理論的資源ともなってきた。本講義では、異なる観点をとる両理論潮流の関係についても考えていく。 前半では現代の分析的政治理論の基本的なアプローチでもあるリベラルな平等主義について、特に経済的・社会的平等を主題とする分配的正義に焦点を絞って学習する。ロールズの正義論を出発点として、リベラルな平等主義における平等・不平等の分析と、より正義に適った社会制度の提案を概観する。後半ではフェミニズムの理論について学ぶが、多様なアプローチと主題をもつフェミニズム理論のうち、本講義ではリベラルな平等主義との接点が大きいものを扱う。具体的には、性別役割分業、構造的不正義、インターセクショナリティといった基本的概念と、社会制度としての結婚をめぐる諸問題を検討する予定である。フェミニズム理論のさらなる広がりについてはごく簡単に触れるにとどまる。(このことは、フェミニズム理論がしばしばリベラリズムが採用する哲学的方法そのものに対して批判を提起していることを踏まえるなら、重大な限定である。) 経済格差とジェンダーに関する差別・抑圧は、いずれも現代社会が抱える主要課題である。政治哲学を主題とする本講義の内容は抽象度の高いものが少なくないが、フェミニズムもリベラルな平等主義も、現実の不正義に応答するという実践的目的を有している。正しい解決策が容易に見出せない現実の問題について、抽象的な理論を通じて深く考える力を身につけてほしい。 |
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達成目標 /Course Goals |
リベラルな平等主義の理論の基本的内容について理解し、説明できるようになる。 フェミニズムの理論の基本的内容について理解し、説明できるようになる。 経済的不平等の問題について理論的に考察できるようになる。 ジェンダー・セクシュアリティに基づく不当な処遇や不利益の問題について理論的に考察できるようになる。 |
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授業内容 /Course contents |
授業計画(暫定)は以下のとおり。 第1回 イントロダクション:政治理論(政治哲学)とはどのような学問か 第2回 ジョン・ロールズの正義論(1) 第3回 ジョン・ロールズの正義論(2) 第4回 分配的正義と平等の諸理論 第5回 福祉国家資本主義と代替的制度構想 第6回 ベーシック・インカム 第7回 労働、資本、テクノロジー 第8回 フェミニズム:運動の歴史と理論枠組みの概観 第9回 性別役割分業、性規範、家父長制 第10回 スタンドポイント理論 第11回 構造的不正義 第12回 認識的不正義 第13回 結婚と正義 第14回 インターセクショナリティ 第15回 最終試験 |
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事前学修・事後学修 /Preparation and review class |
事前学修:各回の授業の前に、指定されたリーディング・マテリアルを読むこと。入念に準備をしたい場合は、下記に記載する参考書の該当箇所を一読することを勧める。 事後学修:各回の授業の後に、リアクション・ペーパーを執筆して提出すること。また、授業資料を適宜見返して復習すること。授業中に紹介した資料についても必要と興味に応じて確認すること。 |
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使用教材 /Teaching materials |
特定の教科書は用いない。各回の事前リーディング・マテリアルについては別途初回の授業で案内する(基本的に購入不要のものとする予定)。 ただし、以下の参考書を読むことは授業内容の理解の大きな助けとなるため、手元に置き授業前に読むことを勧める。特にはじめの2冊は初学者でも読みやすく書かれている: ・田村哲樹ほか『ここから始める政治理論』有斐閣ストゥディア、2017 年 ・清水晶子『フェミニズムってなんですか?』文春新書、2022年 ・山岡龍一・大澤津(編)『現実と向き合う政治理論』放送大学教育振興会、2022年 |
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成績評価の方法 /Grading |
平常点(リアクション・ペーパー。提出の有無だけでなく内容を評価対象とする)50% 最終試験(時間指定、持ち込み可の記述を中心とするものになる予定) 50% |
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成績評価の基準 /Grading Criteria |
単位取得には、平常点と最終試験の合計で、100点満点中60点以上得点すること。 | ||
履修上の注意事項 /Remarks |
・本講義はテーマの性質上、ハラスメントやレイプなどの性暴力に言及することがあることに留意すること。 ・試験資料や配布するリーディング・マテリアル、他の履修者に関する情報、その他講義に関する情報を、SNS等へ提示したり、履修者以外に拡散したりしないこと。 |
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実務経験者による授業 /Courses conducted by the ones with practical experiences |
該当しない/No | ||
授業実施方法 /Method of class |
⑤遠隔授業(時間割を指定するオンデマンド)/Online class(asynchronous on-demand classes following class timetable) | ||
遠隔授業 /Online class |
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