科目一覧へ戻る | 2025/03/14 現在 |
科目名/Subject | 外国語上級I(ドイツ語) |
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担当教員(所属)/Instructor | 鈴木 将史(商学部) |
授業科目区分/Category | 昼間コース 専門共通科目 |
開講学期/Semester | 2025年度/Academic Year 前期/Spring Semester |
開講曜限/Class period | 木/Thu 3 |
対象所属/Eligible Faculty | 商学部昼間コース/Faculty of CommerceDay School,商学部夜間主コース/Faculty of CommerceNight School |
配当年次/Years | 3年,4年 |
単位数/Credits | 2.0 |
研究室番号/Office | |
オフィスアワー/Office hours |
更新日/Date of renewal | 2025/02/22 | ||
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授業の目的・方法 /Course Objectives and method |
「ゲルハルト・ハウプトマン『線路番ティール』を読む」 この授業は、ドイツ語Ⅰ・Ⅱを履修した学生が、更に高度なドイツ語を読み通す力を涵養するための授業です。基本的に表記作品を通読していきますが、執筆当時のドイツの時代背景や文学史的な側面にも触れ、作品の総合的な理解に努めます。 |
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達成目標 /Course Goals |
Gerhart Hauptmann: Bahnwärter Thielの文章を十分理解できるだけのドイツ語運用能力の獲得を目指す。 | ||
授業内容 /Course contents |
郁文堂読本テキスト「Bahnwärter Thiel」を読み進めます。B6版テキストを、毎回3~4ページ読み進め、読了を目指します。小説中のGlossar(単語語彙)は、授業内で与えます。 ゲルハルト・ハウプトマン(1862-1946)は、ゲーテが1832年に亡くなり一種の虚脱状態に陥っていたドイツ演劇界・ドイツ文壇に彗星のごとく現れた自然主義の寵児です。ベルリンでの処女戯曲「日の出前」初演(1889)は、一大センセーションとなり、それまでは理論ばかりを並べ立てていたドイツ文壇から、ついにイプセンやストリンドベリなどと覇を競う自然主義スター作家が誕生したのでした。その後、ハウプトマンは、「沈鐘」、「寂しき人々」、「職工」、「ビーバーの毛皮」など、我が国の演劇界にも大きな影響を与えた話題作を次々と生み出し、ドイツ世紀転換期文学において、押しも押されもせぬ泰斗として、1912年にはノーベル文学賞を受賞するに至ります。その間も彼の作風は自然主義から新ロマン主義、そして新古典主義へと変遷を続け、今なおその巨大な作品群の全貌を見渡すことは容易ではありません。いずれにせよ、第一次世界大戦後崩壊したドイツ帝国に替わって建国されたワイマール共和国において、大統領候補にさえその名が挙がったハウプトマンは、一回り年若のトーマス・マンから「民衆の王」とまで讃えられるほど、当時のドイツ文壇に君臨する絶対的存在でした。また、彼の言動は、大家の名にふさわしく一種独特なもので、その口吻は、マンの長編小説「魔の山」第7章に登場する金満実業家(そしてアル中)「ペーペルコルン氏」のモデルとなったことでも広く知られています。(ハウプトマンはこれを知ると激怒し、マンがてへぺろっと謝った話は「ペーペルコルン・スキャンダル」として有名です。)19世紀末にドイツ留学をしていた森鴎外は、ハウプトマンデビュー時の自然主義文学を嫌っておりましたが、後には彼の伝記を著しています。 以上のようにゲルハルト・ハウプトマンは、ドイツを代表する戯曲家として一世を風靡しましたが、優れた散文小説も数多く残しました。 今回テキストとするのは、ベルリン郊外の辺鄙な踏切を日がな一日開け閉めする線路番を描いた、彼のごく初期の小説ですが、ドイツ屈指の名作短編小説として、ドイツの国語教科書にも取り上げられる作品です。作風は、小説の舞台や、その衝撃的な結末から分かる通り、自然主義的な設定となっていますが、主人公の心理描写の入念さや、前妻の夢や時折通過する(降臨する?)機関車の猛々しい描写などは既に自然主義の域を超え、象徴主義や新ロマン主義の様相さえ呈しています。この点にハウプトマン文学の多様性が端的に現れており、生前「現代のゲーテ」と称された彼の多彩な文学の本質に触れることのできる好適な作品ともいえるでしょう。(夏目漱石の弟子だった独文学者の小宮豊隆は、その著書「知られざる漱石」の中で、漱石にドイツ語を教えたエピソードを紹介しています。そこで使用したテキストのひとつが本作でした。その際、豊隆は本作を「あまり面白くない」と評していますが、漱石は「これも面白いよ」と駁しています。やはり豊隆の文学センスは、師には到底及ばぬようです。) |
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事前学修・事後学修 /Preparation and review class |
事前学習は必須です。次回学習範囲をしっかり予習しておくことが必要です。また、授業内容の定着のためにも、事後学習はつつがなく行ってください。 | ||
使用教材 /Teaching materials |
テキストは既に絶版になっているため、コピー配布(出版社了解済み) | ||
成績評価の方法 /Grading |
授業各回での平常点で評価 | ||
成績評価の基準 /Grading Criteria |
秀:ドイツ語文法を包括的に理解し、自由に応用することができ、秀でた語彙力を持っている。 優:ドイツ語文法を十分に理解し、十分に応用することができ、十分な語彙力を持っている。 良:ドイツ語文法を相応に理解し、ある程度応用することができ、相応の語彙力を持っている 可:ドイツ語文法を最低限理解し、若干の応用ができ、最低限の語彙力を持っている。 不可:ドイツ語文法をほとんど理解しておらず、応用できず、ほとんど語彙力がない。 |
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履修上の注意事項 /Remarks |
根気が必要ですが、外国小説を原語で読破する達成感は、他の学習では中々得られない感覚です。 | ||
リンク先ホームページアドレス /URL of syllabus or other information |
「老大尉は未だ退役せず」—ゲルハルト・ハウプトマン生誕150周年に寄せてー (2012、鈴木将史、日本独文学会HP掲載エッセイ) https://www.jgg.jp/pluginfile.php/310/mod_folder/intro/0089.pdf |
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実務経験者による授業 /Courses conducted by the ones with practical experiences |
該当しない/No | ||
授業実施方法 /Method of class |
①面接授業/Face-To-Face class | ||
遠隔授業 /Online class |
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