科目一覧へ戻る | 2023/08/21 現在 |
科目名/Subject | 公共経済学/Public Economics |
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担当教員(所属)/Instructor | 天野 大輔(商学部) |
授業科目区分/Category | 現代商学専攻博士前期課程 発展科目 |
開講学期/Semester | 2023年度/Academic Year 後期/Fall Semester |
開講曜限/Class period | 火/Tue 3 |
対象所属/Eligible Faculty | 商学研究科現代商学専攻博士前期課程/Graduate School of CommerceGraduate School of Commerce Major in Modern Commerce |
配当年次/Years | 2年 |
単位数/Credits | 2.0 |
研究室番号/Office | 天野 大輔( 337) |
オフィスアワー/Office hours | 天野 大輔( 講義時間の前後。それ以外の場合は、事前にe-mailで連絡すること。) |
更新日/Date of renewal | 2023/02/25 | ||
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授業の目的・方法 /Course Objectives and method |
社会科学としての近代経済学では、市場メカニズムよる資源配分の予測だけではなく、政策当局による公共政策や税改正による経済的波及効果の検討、およびそのような経済効果による所得分配の在り方を考察する。そのためには、経済モデルを用いた理論的な分析、およびその拡張的分析のための試行錯誤が必要である。本講義では大学院レベルの公共経済学、財政学およびマクロ経済動学(特に内生的経済成長理論)に関する専門的知識を習得し、著名な先行研究のサーベイを通じて、前述の分野の理論モデルを規範的(normative)かつ実証的(positive)に分析できるようになることを本講義の目的とする。 特に、内生的経済成長理論を中心とするマクロ経済動学の分析手段を習得し、公共経済学および財政学の重要なトピックの一つである公共投資あるいは所得再分配のための税改正やその経済的波及効果を考察することを本講義の目的とする。さらに、持続的な成長経済を前提として、政府が公共投資を始めとする財政支出の配分や税政策を変更した際に、長期的な経済成長率や所得分配に与える比較静学を分析することによって、理論モデルによる思考実験を通じた将来予測や経済政策に対する示唆を議論することも本講義の目的の一つとする。 |
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達成目標 /Course Goals |
達成目標として、以下の事柄を設定する。初めに、社会科学として経済政策を検証するための枠組み(理論モデル)となる公共経済学およびマクロ経済動学に関する専門的理論を習得する。次に、個別の経済政策・財政政策に関する経済効果、政策の理論的根拠、政策的含意およびそれらの限界や問題点について、実例も交えて理解かつ議論できるようになることを目指す。最後に、様々な現実の経済政策・財政政策の有効性を理論的に評価したり、テキストに掲載された既存の経済理論モデルを拡張的に分析できるようになることも到達目標の一つとする。 | ||
授業内容 /Course contents |
本講義は、学部の経済学科卒業レベルのミクロ・マクロ経済学および経済数学の専門的知識を前提として、ゼミ形式(輪読形式)で行われる。そのため、履修者には以下で指定した海外のテキストを輪読してもらう。 各履修者に事前にテキストの報告部分を指定するので、各回の報告担当者はテキストの該当箇所の内容に関して口頭で発表してもらう。具体的には、毎回、事前に指定された報告担当者は、テキストの割り当て部分の内容に関して「事前に入念で詳細な」下調べを行い、講義の当日に各自が調査した成果を口頭(日本語)で発表・解説してもらう。したがって、本講義は履修者全員の出席を前提とし、特に口頭発表の担当者の無断欠席は厳禁とする。特に、報告担当回において1度でも無断欠席をした場合は、本講義の運営(つまり、テキストの輪読)に重大な支障が発生するので、成績評価において不可の対象になりえるものとする。 以下のテキスト①を使用する場合には、具体的な授業計画としては、以下のようなトピックを想定している。ただし、下記はあくまで目安であって、各回の口頭発表者は、各自で入念で詳細な下調べを事前に行った上で、テキストの輪読および口頭発表を実施するので、実現された発表・解説のパフォーマンスおよび履修者の理解度を基にした進度状況に依存して、下記の授業計画は変更される可能性が十分にある。 1. ガイダンス 2. Chapter 2: Public Capital and Education (1. Background, 2. The Economy) 3. Chapter 2: Public Capital and Education (3. Equilibrium and the Balanced Growth Path) 4. Chapter 2: Public Capital and Education (4. Sensitivity of Education Technology, 5. Public Policy) 5. Chapter 2: Public Capital and Education (6. Extensions) 6. Chapter 3: Public Capital and Health (1. Background, 2. A Two-Period Framework) 7. Chapter 3: Public Capital and Health (3. Time Allocation and Growth Dynamics, 4. Public Spending, Growth, and Human Welfare) 8. Chapter 3: Public Capital and Health (5. Optimal Spending Allocation, 6. A Three-Period Framework with Endogenous Fertility) 9. Chapter 3: Public Capital and Health (7. Endogenous Life Expectancy, 8. Interactions between Health and Education) 10. Chapter 4: Public Capital and Innovation (1. Background, 2. The Economy) 11. Chapter 4: Public Capital and Innovation (3. Balanced Growth Path, 4. Public Policy) 12. Chapter 4: Public Capital and Innovation (5. From Imitation to True Innovation) 13. Chapter 5: Public Capital and Women’s Time Allocation (1. Background, 2. The Economy) 14. Chapter 5: Public Capital and Women’s Time Allocation (3. Women’s Time Allocation and Fertility, 4. The Balanced Growth Path) 15. Chapter 5: Public Capital and Women’s Time Allocation (5. Public Policy, 6. Women’s Labor Supply and Development) |
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事前学修・事後学修 /Preparation and review class |
履修者は各自の口頭発表に備えて、事前に指定されたテキストの該当部分に関する事前の入念な下調べや先行研究のサーベイだけでなく、発表を聴いているフロアの履修者のために、口頭発表のためのプレゼンテーション資料(発表形式に依存した講義ノートあるいは投影資料)およびそのハンドアウトの作成が必要になる。 また、講義期間における学習環境(例えば、新型コロナ感染拡大の状況)の変化に依存して、場合によっては、(小)テストを実施したり、テキストの練習問題や、授業内容を踏まえた政策提言や拡張的分析をレポートにまとめて提出する可能性もありうる。 |
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使用教材 /Teaching materials |
輪読形式で実施される本講義の使用教材は、現時点では以下のいずれかを予定している。 優先順位と併せて列挙しておくが、どのテキストを教材として選択するかは履修者の専攻や修論のテーマなどに依存する。また、取り扱うトピックによっては、海外の論文を教材として指定することもあり得る。 *本校のシラバス登録の「仕様」の字数制限を超えるようなので、下の「履修上の注意事項」の欄に列挙する。 |
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成績評価の方法 /Grading |
通常の授業形態を前提として、テキストを輪読する際の口頭発表(プレゼンテーション)のパフォーマンス(つまり、発表該当部分に対する事前の下調べの詳細さや口頭での説明・解説の質)で主に評価する。また、出席数は当然のこととして、発表された内容に関する議論への参加度および貢献度から評価する。 *さらに、上述した学習環境の変化に依存して、場合によっては、(小)テストや課題(テキストの練習問題など)の実施状況から評価することもありえる。 |
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成績評価の基準 /Grading Criteria |
上記の「成績評価の方法」に従い、得点に換算して評価(秀・優・良・可・不可のいずれか)する。100〜90点は秀(100点以上は切捨て)、89〜80点は優、79〜70点は良、69〜60点は可、59〜0点は不可とする。それ以外の提出課題の評価については、「経済学コースにおける成績評価の統一基準」に従う。 口頭発表(プレゼンテーション)のパフォーマンスの他には、発表された内容に関する議論への参加(貢献)度からも判断する。 *さらに、上述した学習環境の変化があった場合には、課題((小)テストやテキストの練習問題など)の提出状況)からも判断される。 また、口頭発表(プレゼンテーション)を通じた、単位認定に関する評価基準は、以下の通り。 ①:公共経済学に関する経済政策の背景にある経済理論を理解したうえで口頭発表している。・・・可 ②:①に加えて、政策の理論的正当性や政策の波及効果を論理的に説明することができる。 ・ ・ ・良 ③:②に加えて、モデル分析の結果を踏まえて、現実の政策を評価したり、既存のモデルの理論的拡張を提案することができる。 ・ ・ ・優 ④:③のレベルにおいて特に優れている。 ・・・秀 |
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履修上の注意事項 /Remarks |
上記の大学院レベルのテキストを報告・解説するためには、事前の入念かつ詳細な下調べや調査が必要である。ゆえに、大学院1年生、つまり少なくとも経済学科卒業レベルのミクロ・マクロ経済学の専門的知識だけでなく、経済数学の知識も必要とするので、履修には十分に注意すること。 *テキストについては以下のとおり。 ① Pierre-Richard Agénor (著) “Public Capital, Growth and Welfare”, Princeton Univ Press (2014) ② Philippe Aghion and Peter Howitt (著) “The Economics of Growth”, The MIT Press (2009) ③ Giuseppe Bertola, Reto Foellmi, and Josef Zweimuller (著) “Income Distribution in Macroeconomic Models”, Princeton Univ Press (2005) ④ David de la Croix (著) “Fertility, Education, Growth, and Sustainability”, Cambridge University Press (2012) ⑤ David de la Croix, and Philippe Michel (著) “A Theory of Economic Growth: Dynamics and Policy in Overlapping Generations”, Cambridge University Press (2002) |
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実務経験者による授業 /Courses conducted by the ones with practical experiences |
該当しない/No | ||
実務経験の概要 /Outline of their practical experiences |
該当無し | ||
実務経験と授業科目との関連性 /Relevance between their practical experiences and the course |
該当無し | ||
備考 /Notes |
講義やmanabaを用いた連絡などは日本語で行う。また、担当教員の連絡先となる e-mail address は次の通り。 amano@res.otaru-uc.ac.jp |
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授業実施方法 /Method of class |
○大学院授業/Graduate school class | ||
遠隔授業 /Online class |
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