科目一覧へ戻る | 2023/03/27 現在 |
科目名/Subject | 財務会計論 |
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担当教員(所属)/Instructor | 石川 業 (商学部) |
授業科目区分/Category | 昼間コース 学科別専門科目 |
開講学期/Semester | 2020年度/Academic Year 後期/Fall Semester |
開講曜限/Class period | 火/Tue 1 , 金/Fri 1 |
対象所属/Eligible Faculty | 商学部/Faculty of Commerce |
配当年次/Years | 2年 , 3年 , 4年 |
単位数/Credits | 4 |
研究室番号/Office | |
オフィスアワー/Office hours |
更新日/Date of renewal | 2020/03/02 | ||
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授業の目的・方法 /Course Objectives and method |
この授業の目的は、実際の損益計算書・貸借対照表等における記載項目1つ1つの意味内容を理解したうえで、それらの決算書が全体としてなにを示しているのかということも読み取れるようになることです。「木を見て森を…」の喩えに即していえば、「1本1本の木のあり方を理解しながら、それでいて森の全体像までよりよく把握できるようになること」が目的です(木を見て、森も見る)。 授業の方法は、アクティブ・ラーニングに近い(としてもかなり地味な)、いわば対話の形式です。より具体的には、30回の講義中およそ9割で次の3つの作業を積み重ねつつ、財務会計論についての理解を深めていきます。 (1)履修者は各回の講義前にテキストの一定範囲について予習をしたうえで教室に集まる (2)予習の段階で得られたさまざまな着想・気づき(関心・異論・疑問等)のうち重要と思われるものを、講義の時間にresponを使って共有する (3)それを受けて、教員が解説を加えながら疑問を解決したり、異なる考え方を比較したり、おもしろいと思える論点の重要性を確認する なお、テキストの終盤には経営分析(いわゆる財務分析)の章が用意されているので、その内容をふまえてレポート上で実際の企業経営を分析してみましょう。そのために、30回の講義のうちおよそ1割を使って、レポート執筆に向けたガイダンス・予備情報を提供したり、提出後の見直し・ブラッシュアップを行います。この過程からも、財務会計論についての理解を深めていくことが期待されています。 |
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達成目標 /Course Goals |
上記の目的・方法により、企業の状況を決算書(財務諸表)から読み取れるようになることが、この授業における最大の達成目標です。 その目標のもとで、次に掲げる3つの点も副次的な(しかしとても重要な)目標として設定されています。 (1)入門書とはいえ財務会計論(という専門科目)についてのテキストを、まずは自力ですべて読みとおす (2)瞬発的な判断力を高める (3)重厚な思考力を磨く 読書量が少ないともいわれる世代のみなさんにとって、(1)の目標は、歴史上の人々が長い時間をかけて得てきた知恵を現在の私たちが効果的・効率的に引き継いでいくために、決して小さくはない経験となるように思います。多少とも自ら進んで読み込もうとする、その対象が、小説や週刊誌ではなく専門書であるということがここでのポイントであり、それはとくに、予習の場面を想定した目標です。 (2)は、企業の業績・状態を要約した会計数値を、直感も効かせながらスムーズに理解するという能力の向上につながる目標です。それは同時に(あるいはそれ以前に)、教室で共有されていくほかの履修者の関心・疑問や教員のリアクションから、新しい気づきが連鎖していく機会にもつながると期待されます。これはとくに、講義の場面を想定した目標です。 (3)は、(2)のような瞬発的な判断力に対して、深く重たく考え抜く力を意識した目標です。会計数値の適切かつ新しい使い方に気づく場合を含めて、「あっ、そうか!」という閃きにたどり着いたり、重大な局面を広く長く打開するために必要になるのは、反射的な思考以上に、重厚な思考を伴う壮大な回り道だったりもします。これはとくに、予習後・講義後の復習や、たとえばレポート執筆時に知識を活用する場面を想定した目標です。 |
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授業内容 /Course contents |
使用教材の欄で紹介するテキストの、その章立て(メイン・タイトル)をふまえながら各回の講義における論点を示せば、次のとおりです。 第1回 イントロダクション 会計の種類と役割(1) 第2回 会計の種類と役割(2) 第3回 財務会計のシステムと基本原則(1) 第4回 財務会計のシステムと基本原則(2) 企業の設立と資金調達(1) 第5回 企業の設立と資金調達(2) 第6回 企業の設立と資金調達(3) 仕入・生産活動(1) 第7回 仕入・生産活動(2) 販売活動(1) 第8回 販売活動(2) 第9回 販売活動(3) 設備投資と研究開発(1) 第10回 【第9回の続きをいったん保留して…】 財務諸表による経営分析(1) 第11回 財務諸表による経営分析(2) 第12回 【第9回の続きに再び戻って…】 設備投資と研究開発(2) 第13回 設備投資と研究開発(3) 資金の管理と運用(1) 第14回 資金の管理と運用(2) 第15回 ここまでに学んだことの整理(1) ⇒(2)は第29回(予定) 第16回 資金の管理と運用(3) 国際活動(1) 第17回 国際活動(2) 税金と配当(1) 第18回 税金と配当(2) 第19回 税金と配当(3) 財務諸表の作成と公開(1) 第20回 財務諸表の作成と公開(2) 第21回 財務諸表の作成と公開(3) 第22回 中間レポートの提出に向けた(最後の)ガイダンス・予備情報の提供 第23回 中間レポートの仕上げと提出(受取り) 第24回 中間レポートの振返り (添削版の返却と総評を含めたフィード・バック) 第25回 財務諸表の作成と公開(4) 第26回 企業集団の財務報告(1) 第27回 企業集団の財務報告(2) 第28回 企業集団の財務報告(3) 第29回 ここまでに学んだことの整理(2) ⇒(1)は第15回(予定) 第30回 期末レポートの仕上げと提出に向けた(最後の)ガイダンス・予備情報の提供 毎回の(通常の)講義の進度はおよそ、テキストの総ページ数(本文約285ページ)を24回で割ったぶん、つまり約12ページです。より具体的な範囲は、その前の回の終了時にお示しします。 上記の計算でテキストの総ページ数を24回で割っているのは、それ以外の講義6回のうち、3回を企業分析(財務諸表分析)のポイント解説を含めたレポート執筆のためのガイダンスにあて、1回を中間レポート提出後のフィード・バックに、また、残り2回を授業全体の振返りを試みる機会として確保しておくためです。 予習が必要だった回の次の講義では原則として、それ以前の講義の理解度をたしかめるためのクイズを出題します。その最も重要な趣旨は、単位取得のための点数獲得の機会確保というよりも、それまでの講義内容の忘却を抑制することにあります。ただ、少なからず成績評価にも関連づけられますので、積極的に準備・回答してみてください。 |
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事前学修・事後学修 /Preparation and review class |
この授業の究極的な目的・目標は上記のとおり、関心をもてる企業の会計数値を理解・分析して、その業績を評価するという作業を、履修者自身で成し遂げられるようになってもらうことです。 その目的・目標に照らして、次のことを毎回の講義の【事前学修】として期待します。 ・どのような企業に魅力を感じるか、それはなぜか、その企業を取り巻く環境はどのようであるか、業績はどうなっていると推定できるか…といった、特定の企業についての事前のイメージを、できるかぎり明確にすること(そのためには、日常的な「アンテナ」の張り方と、それによって得た情報のふまえ方、そして、それらを支配する自分自身の個性・関心・好みのあり方を意識していく必要があります)。 また、講義のあとには毎回、次のことを【事後学修】として期待します。 ・これまでに得てきたほかの専門科目の知識を総動員しつつ、会計数値に目をとおすことができるようになっているか否かを確認すること(会計についての理解は、経済全体や企業経営に関連する他分野についての理解があってこそ、いっそう深まります)。 ・授業を受ける前の自分と比べ、特定の企業に対する見方が変わっているか否かを、その理由とあわせて確認すること(将来の自分の「居場所」もイメージしながら確認できると、より望ましい)。 |
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使用教材 /Teaching materials |
桜井久勝・須田一幸著『財務会計・入門〔その時点での最新版〕』有斐閣。 大学生協での入荷数には限りがありますので、履修を考えてくださるかたにはお早めの入手をおすすめします(最新第13版の定価は¥1,980)。 同書は、この分野ではコスト・パフォーマンス抜群の、定評あるテキストです。金銭的にむずかしい事情もあるかもしれませんが、「キャリア・アップにはコストも付きもの」とご理解いただける場合には、ぜひご入手をお願いします。 |
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成績評価の方法 /Grading |
次の配点により成績評価を行います。 ・60点:講義で共有(提出)するコメント(講義1回あたりの配点は約2.5点) ・10点:理解度確認クイズ(講義1回あたりの配点は約0.4点) ・30点:年末に提出してもらう中間レポート(配点20点)と、それを学期末までに改善してもらう期末レポート(配点10点) ・ + 𝛂:受講姿勢、自分で自分を成長させるための工夫、etc… ・定期試験は行いません(それだけ講義の場における対話が重視されます) なお、講義中に寄せていただくコメントや、中間レポート・期末レポートについては、とくに次の規準・評価軸に照らして評価を行います。 ・財務会計の数値の特性を活かした分析(仮説検証)を構築できているか ・つじつまのあった文章・文脈を、説得力を確保しながら構築できているか ・新規的・独創的なテーマを設定できているか ・データやグラフを効果的に提示できているか ・参考資料を正確かつ誠実に提示できているか |
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成績評価の基準 /Grading Criteria |
秀(100-90):財務会計論を、柔軟・誠実な姿勢で、よく理解した。 優( 89-80):財務会計論を、柔軟・誠実な姿勢で、ほぼ理解した。 良( 79-70):財務会計論を、よく理解した。 可( 69-60):財務会計論を、ほぼ理解した。 不可(59- 0):上記以外。 秀と優に関して「柔軟・誠実な姿勢」を尊重するのは、「柔軟な姿勢」が企業分析に瞬発性・独創性を与える可能性が高く、また、「誠実な姿勢」が緻密で重厚な財務分析をもたらす可能性が高いとみられるから、ひいては、それらのセンスが企業の業績・状態を捉えようとする財務会計論の理解を促しやすいとみられるからです。 |
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履修上の注意事項 /Remarks |
(1)この授業では、頻繁にresponを使用します(連絡事項の伝達、追加資料の配布、レポートの提出等のために、幅広く活用されます)。そこで、responを使用できる端末を毎回持参してください。 (2)この授業の内容は、「簿記原理」「応用簿記」の履修済みを前提としています。どちらの科目も不合格のままで(それなりに苦労しながら)単位を取得できた履修者もいますが、「実り」は多くなりづらいかもしれません。努力次第とはいえ基礎がないと理解も記憶もむずかしくなるからです。 (3)この授業の履修を検討していただける場合、最初の数回の聴講を強くおすすめします。それらを欠席をしても履修は可能ですが、なんとなく履修しても意義を大きくできる、というタイプの授業ではありません。 (4)テキストの予習が必要になるのは第2回から(第1回はテキストなしでも聴けます)。第2回の予習範囲は1ページから10ページ5行目までです。 |
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実務経験者による授業 /Courses conducted by the ones with practical experiences |
該当しない/No | ||
遠隔授業 /Online class |
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