科目一覧へ戻る | 2023/03/17 現在 |
科目名/Subject | 哲学 |
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担当教員(所属)/Instructor | 久保田 顕二 (商学部) |
授業科目区分/Category | 昼間コース 共通科目 |
開講学期/Semester | 2019年度/Academic Year 前期/Spring Semester |
開講曜限/Class period | 金/Fri 4 |
対象所属/Eligible Faculty | 商学部昼間コース/Faculty of CommerceDay School |
配当年次/Years | 1年 , 2年 , 3年 , 4年 |
単位数/Credits | 2 |
研究室番号/Office | 久保田 顕二(343) |
オフィスアワー/Office hours |
久保田 顕二(前期:木 14:30~16:00 後期:水 15:00~17:00) |
更新日/Date of renewal | 2019/02/28 | ||
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授業の目的・方法 /Course Objectives and method |
哲学の入門的な講義です。哲学は、他の学問とは違って、限定された固有の研究対象をもちませんので、特に初心者には、それがそもそも何を明らかにしようとする学問なのかがつかみにくい面があります。しかし、哲学の特徴として一つ確実に言えることは次のことです。すなわち、哲学は、私たちが日常生活や他の学問では、特に疑問視せずに「当たり前な」こととして受け入れている暗黙の前提を自覚的に取り出し、そして、その前提の妥当性を吟味したり、別の可能性を示唆したりする、ということです(ある意味、哲学とは非常に傲慢な学問です)。 例えば自然科学の研究であれば、それは一般に、自然界の現象は究極的にはすべて「物質的な」ものであって、もっぱら物質の作用によって説明することが可能である、との前提に立って進められています(いかに不可思議な現象であっても、自然科学者は通常、それを必ず、自然法則に則って起こった物質の作用、として説明します)。しかし哲学の観点からは、この前提には疑問をさしはさむことが可能です。つまり、この前提は本当に成り立つのか、もしかしたら物質とは独立の「精神」なるものが存在するのではないか、といった問いを、合理的な仕方で発することができます。 本講義では、哲学のこういった特徴を理解していただくことを第一の主眼にしながら、西洋哲学におけるさまざまな学説を紹介していきます。順序としては、まず、「自己自身」の存在を問うということが、とりわけ近代以降の哲学にとっては重要であることを確認し、次に、哲学の代表的な部門(形而上学や認識論)の中身を、大哲学者の主要な学説に沿って紹介していきます。プラトン、アリストテレス、デカルトといった大哲学者の考え方は、歴史的な流れの中でよりも、むしろ個々の哲学問題との関連で取り上げられます。 この授業が目的とするところは次のことです。 1.西洋哲学の歴史に現れたさまざまな学説についての基本的な知識と理解を得ること。 2.「哲学」という学問が「科学」には還元されえず、ある点では「科学」と鋭く対立するということを知ると同時に、とかく科学万能と思われがちな現代の世にあって、「科学」ではない学問研究にも固有の意義がある、ということを理解すること。 |
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達成目標 /Course Goals |
次のような理解を、あるいはものを考える姿勢を、身に付けることが、この授業の達成目標の重要な一部を形成します。 1.私たち人間は、時として、自分自身が存在すること、世界がこのようなものとして存在すること、等について根源的な疑問を抱き、その疑問を追求していかざるをえない宿命を負っている、ということを知ること。 2.研究の種類によっては、目に見える目先の成果を性急に手に入れようとすることが、かえって真の意味での成果達成の妨げになる場合がある、ということを理解すること。 |
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授業内容 /Course contents |
以下のそれぞれの項目について数回ずつを費やします。 1.哲学とは何か-「科学」を超えた知的探究- 2.「私」自身が存在することへの問いかけ-デカルト哲学とその発展- 3.心身問題―「心」と「身体」とはいかなる仕方で関係しているのか― 4.形而上学-「物」と「心」とのどちらが究極的に存在するのか- 5.認識論-感覚によって知ることと、理性を使って推理すること- このほかに、以上のような全体の流れとはやや独立に、比較的現実味のある哲学問題を取り上げるかもしれませんが、いずれにせよ今年度は、自然界(外的世界)よりも、むしろ、「心」という内面世界を掘り下げることに力点を置きます。 |
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事前学修・事後学修 /Preparation and review class |
授業以外の場で行う学修としては、事前学修よりも、むしろ事後学修のほうが大きな比重を占めます。特に以下のような作業が必要となります。 1.授業の場で十分な理解に至らなかった哲学用語を、「哲学」や「思想」を扱った辞典(事典)(図書館にも何点か所蔵)を使って調べ、その意味を正しく把握する。その際、基本用語の意味は、「時代」の変化とともに変化したり、個々の哲学者の「哲学体系」との関連で多様になったりする、ということにも注意する。 2.授業で紹介された「哲学史」や哲学の「概説書」を手にとり、該当箇所に目を通す。 3.配布資料(特に、原典の翻訳を抜粋して作成した配布資料)の該当箇所を判読する。そのようにして、授業での口頭による解説を通すだけでなく、哲学者自身による言葉をも通して、思想内容を把握することに努める。 |
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使用教材 /Teaching materials |
テキストは使用しませんが、授業の中で参考文献を随時紹介していきます。 | ||
成績評価の方法 /Grading |
定期試験の成績に、平常点(出欠調査を兼ねたアンケートによって行う、意見や疑問の聴取)を加味します。 定期試験は論述式の筆記試験であり、そこでは、用語や重要事項の簡潔な説明を求める4〜5題の小問と、比較的広範にわたる内容の理解を確かめる2題の大問とが出題されます。またこのほかにも、違った趣向の設問を混ぜて出題することがあるかもしれません。 |
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成績評価の基準 /Grading Criteria |
目安としては、定期試験の成績が85%、平常点が15%です。成績評価に際して一番重要となるのは、抽象的な思想内容を、ある程度の分量の明晰な文章によって正確に表現することができているか、という点です。主にその点での達成度に応じて、「秀」〜「不可」のいずれかの成績が割り振られます。 一応、記述式問題の採点基準を示しておきますと、ほぼ次のようになります(ごく一般的な基準です)。 1.思想的内容をきちんと把握していることが示されているような正確な答案であること。 2.答案の分量が、目安として指定された文字数と比べて少なすぎないこと。 3.理解が講義内容のごく一部にだけでなく、全体にゆきわたっていることが示されているような答案であること。 4.答案が、日本語の文章として正確で、かつ分かりやすいこと。 |
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履修上の注意事項 /Remarks |
さしあたり2つの注意事項を掲げておきます。 1.講義の最中には、話されていることのポイントがどこにあるのかがよくわからない、という場面が間々あるかもしれません。しかし、哲学思想には、ポイントがわかってそれがしっくりと心の中におさまったときには、今までの物の見方が一変する(良い方向に)、という効果がある場合があります。したがって、多少難しく思えても、あわてたり性急に諦めたりせず、しばらくの間、辛抱して聴いてみるという姿勢をもっていただきたいと思います。 2.多数の断片的な知識を身に付けようとすることによりも、むしろ、哲学説の思想的な内容を知的に理解したり、学説が否定されたり乗り越えられたりする際のダイナミズムをとらえたりすることのほうに、より大きな注意や関心を向けていただきたいと思います。 |
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遠隔授業 /Online class |
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