科目一覧へ戻る | 2023/03/17 現在 |
科目名/Subject | 経済分析論 |
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担当教員(所属)/Instructor | 黒阪 健吾 (商学部) |
授業科目区分/Category | 昼間コース 学科別専門科目 |
開講学期/Semester | 2018年度/Academic Year 後期/Fall Semester |
開講曜限/Class period | 金/Fri 3 |
対象所属/Eligible Faculty | |
配当年次/Years | 2年 , 3年 , 4年 |
単位数/Credits | 2 |
研究室番号/Office | |
オフィスアワー/Office hours |
更新日/Date of renewal | 2018/02/28 | ||
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授業の目的・方法 /Course Objectives and method |
この授業の目標の1つめは、ミクロ経済学の基礎的なアイデアについて、経済学実験を通じて実感をもって理解することです。ミクロ経済学ではひとびとの経済活動について、きわめて抽象的な分析が行われます。そのため、みなさんの中には「テスト問題は解けるけど(もしくは解けないけど)、これがなぜ経済と関係があるのだろうか?」と考える人もいるかもしれません。この授業では実験の設定について詳しく議論することで、抽象的なミクロ経済学と具体的な経済活動との対応関係について復習します。 この授業の目標の2つめは、ミクロ経済学が主張する命題について、たとえば「完全競争均衡」や「比較優位の原理」などの命題が、私たちの経済行動をどのくらい説明できるのか、検証する方法について考えることです。たとえば「完全競争均衡」は、全国規模の市場ではじめて成立するのでしょうか?あるいは、ほんの数人からなる市場でも成立するのでしょうか?この授業では、実際に経済学実験を設計したり、実験で得られたデータの分析を通じて、社会科学における理論の「確からしさ」について学びます。 |
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達成目標 /Course Goals |
(1)教科書に書かれた実験の設定を理解し、ミクロ経済学との対応を説明することができる。 (2)実験で得られたデータの分析を通じて、理論の妥当性について判断することができる。 |
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授業内容 /Course contents |
受講生による実験の実施、実験結果についての報告、報告を受けての議論の3つを中心に授業を進めます。受講生は数人でチームを組み、以下に挙げる実験の1つから2つを担当します。授業の前半では前回の実験の結果についての報告を行い、授業の後半では新しい実験を実施します。 (1)オリエンテーション+「りんご市場」実験 (1章 需要と供給) (2)「りんご市場実験」報告+「さかな市場」実験 (2章 供給曲線のシフト) (3)「さかな市場実験」報告+「りんご市場」実験2 (3章 売上税) (4)「りんご市場実験2」報告+「麻薬取引」実験 (4章 取引規制) (5)「麻薬取引実験」報告+「就活」実験 (5章 労働市場と最低賃金) (6)「就活実験」報告+「公害」実験 (6章 外部性、環境税、排出権) (7)「公害実験」報告+「航空券」実験 (7章 独占、カルテル) (8)「航空券実験」報告+「レストラン」実験 (8章 参入と退出) (9)「レストラン実験」報告+「IT産業」実験 (9章 ネットワーク外部性) (10)「IT産業実験」報告+「(紙)飛行機工場」実験 (10章 限界生産性) (11)「(紙)飛行機工場実験」報告+「貿易」実験 (11章 比較優位) (12)「貿易実験」報告+「中古車市場」実験 (12章 逆選択) (13)「中古車市場実験」報告+「オークション」実験 (13章 オークション) (14)「オークション実験」報告+「交渉」実験 (14章 バーゲニング) (15)「交渉実験」報告 |
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事前学修・事後学修 /Preparation and review class |
実験の実施前に教科書の記述を読んでおくことはもちろんのこと、対応するミクロ経済学の概念についての理解が必要です。複数のミクロ経済学の入門書を参照すると良いでしょう。また、実験の段取りやデータの収集方法については、メンバー間で詳細な打ち合わせが必要です。場面に応じた効率的なコミュニケーション方法について、事前に決めておくと良いでしょう。 実験結果の報告や期末レポートを執筆する際には、効果的にデータを提示する方法や、実験結果を適切に評価するための統計的手法が必要となります。また、理論と実際のデータとのズレを考察する際には、近年研究が進んでいる行動経済学におけるアイデアが役立つでしょう。それぞれの分野で入門書が充実していますので、様々な方法を積極的に試してみることを勧めます。 |
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使用教材 /Teaching materials |
Bergstrom, T. C. & Miller, J. H., 2000, Experiments with Economic Principles: Microeconomics, McGraw-Hill. 教科書については、担当する箇所についての資料を配付するので購入の必要はありません。また、実験者用のマニュアルについては、著者のホームページから無料でダウンロードできます(「リンク先ホームページアドレス」参照)。 |
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成績評価の方法 /Grading |
担当した実験の段取り(実験の理論的背景の理解、参加者への的確な指示、データ収集の適切さ)、実験結果の報告(データの見せ方の工夫、理論の妥当性についての判断、実験結果の総合的な解釈)、報告に関する議論(発表の本質に関わる質問、質問を理解した適切な応答)に加えて、期末レポートの独創性を評価します。 | ||
成績評価の基準 /Grading Criteria |
実験の段取り、実験結果の報告、期末レポートをA、B、Cの三段階に評価したうえで、報告に関する議論での評価を加点します。大まかな成績評価の基準は以下の通りです: 「秀」:実験の段取り、実験結果の報告の双方でA評価、かつ期末レポートで特に優れた評価を得た場合 「優」:実験の段取り、実験結果の報告の双方でA評価、かつ期末レポートでA評価を得た場合 「良」:実験の段取り、実験結果の報告のいずれかでA評価、かつ期末レポートでB以上の評価を得た場合 「可」:実験の段取り、実験結果の報告のいずれかでB以上の評価、かつ期末レポートを提出した場合 |
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履修上の注意事項 /Remarks |
実験を毎回実施するという授業の性質上、履修人数を制限する場合があります。また、実験の実施や結果の報告はグループ単位で行うため、発表前に綿密な打合せを行う必要があります。 | ||
リンク先ホームページアドレス /URL of syllabus or other information |
実験で必要なインストラクションは、著者のホームページからダウンロードできます。 http://www.econ.ucsb.edu/~tedb/eep/instman2.html |
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遠隔授業 /Online class |
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