科目一覧へ戻る | 2023/03/17 現在 |
科目名/Subject | 現代哲学論 |
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担当教員(所属)/Instructor | 久保田 顕二 (商学部) |
授業科目区分/Category | 昼間コース 専門共通科目 |
開講学期/Semester | 2016年度/Academic Year 後期/Fall Semester |
開講曜限/Class period | 水/Wed 3 |
対象所属/Eligible Faculty | 商学部/Faculty of Commerce |
配当年次/Years | 2年 , 3年 , 4年 |
単位数/Credits | 2 |
研究室番号/Office | 久保田 顕二(343) |
オフィスアワー/Office hours |
久保田 顕二(前期:火曜日12:00〜13:30 後期:月曜日16:00〜17:30) |
更新日/Date of renewal | 2016/03/01 | ||
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授業の目的・方法 /Course Objectives and method |
「権利」の本性に関する研究です。「権利」というものは、今日、多くの社会問題の解決に際してほぼ間違いなく引き合いに出される非常に重要な概念的ツールですが、その内実が何であり、その特徴と限界がどこに存するのかは、ふだんあまり顧みられることがありません。この授業では、ハート(H.L.A.Hart)とドゥウォーキン(Ronald Dworkin)という、現代英語圏における二人の代表的な法哲学者の論著を取り上げ、それらを熟読することを通じて、権利概念をめぐる基本的な哲学的・倫理学的諸問題(「授業内容」を参照)を検討していきます。 当面のテーマに関してより大きな学習効果が期待できる方式として、講義形式ではなく、文献を輪読する形式を採用します。具体的な進め方としては、各回の授業に先立ってあらかじめ報告者を決めておき、その者には授業当日において、一定範囲の内容の要約と、その範囲における疑問点や問題点の提示とを行ってもらいます。そのことにより、参加者相互の活発な議論のための下地をつくってもらいます。なお、必要と思われる場合は、授業担当者がある程度の時間をとり、講義形式によって内容を解説します。 テキストは基本的には邦訳を使いますが、しかし配布にあたっては英語の原文も同時に渡し、そして読解を進めていくなか、必要に応じて適宜、それを邦訳と対照させます。 |
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達成目標 /Course Goals |
権利の「濫用」を始め、それの不適切な使用一般を防止しようとする姿勢を身に付けることが、この授業の目標です。そしてそれを身に付けるべく、履修者には、例えば次のような諸点を十分に理解することが求められます。1.「権利」とは決して内容自明の概念ではなく、そもそもそれが個人の「何を」守ろうとするものであるのかについても、学者たちの意見は一致していないということ。2.「権利」にはおのずと限界があり、したがって、その要求が通りさえすれば倫理的・法的問題があらゆる意味で解決する、というわけでは決してないということ(「権利」は、例えば別の「権利」や社会全体の「福祉」によって制約されることがあります)。3.自分の権利だけを主張するという態度は「権利」への無理解を示しており、「権利」には、同じ要求を同一の立場にある他の者へも拡張しなければならないという「普遍性」の要求が伴っているということ。 |
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授業内容 /Course contents |
以下の論点を主軸に据え、それに関連するいくつかの代表的論文を読み解いていきます。 1.私たちが「人間」でありさえすればもつとされる「自然権」(ないしは「人権」)なるものは本当に存在するのか。 2.法規を根拠として成立する「法的権利」というものは、正確にはどのように分析されるのか。 3.個々人の「権利」を保障することと、社会全体の「福祉」を増進することとは、どう関係するのか。 4.自身が「自由に」ふるまう権利と、他の人々と「平等に」扱われる権利とは、どう関係するのか。 |
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使用教材 /Teaching materials |
1.H.L.A.ハート著『権利・功利・自由』(木鐸社、1987年) 2.ロナルド・ドゥウォーキン著『権利論[増補版]』(木鐸社、2003年) 3. 同 『権利論Ⅱ』(木鐸社、2001) 上記論文集の一部の論文をテキストとして使用します(邦訳、原著ともにプリントで済ます予定)。なお、以下の文献は参考書。 4.森村進著『権利と人格』(創文社、1989年) |
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成績評価の方法 /Grading |
出席状況、報告の担当及びその回数、授業への積極的参加度、等を勘案した上での平常点によって評価します(目安としては、出席点40%、報告担当40%、授業への参加度20%)。なお、出席日数や報告回数が少ない履修者については、別途、レポート課題を与える場合があります(論文の内容(の一部)を要約してコメントを付する体裁のもの)。レポートは30%を上限として、不足分の点数の補填に使います。 | ||
成績評価の基準 /Grading Criteria |
上記の諸点を総合的に判断して、「秀」~「不可」の5段階の成績を割り振ります。追って、より詳しい評価基準を示します。 | ||
履修上の注意事項 /Remarks |
倫理学の基本概念について、基礎科目の「倫理学」で説明された程度のことはあらかじめ知っている必要があります。したがって、「倫理学」をまだ履修していない人にとっては、授業についていくのはやや困難かもしれません。 授業の開始に先立ち、然るべき場所にプリントを設置しておく等によって、テキストの一部の内容確認ができる状況をつくっておきますので、もし履修の決定に際して必要ならそれを利用してください。 |
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遠隔授業 /Online class |
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