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エバーグリーンからのお知らせ

2015.01.28

平成26年度 第12回講義:「ゼッタイに身につけておくべきビジネスのスキル」

講義概要

○講 師:三上 淳 氏(平成8年卒)
○現職等:かもめソリューションズ代表/プロコーチ
○題 目:ゼッタイに身につけておくべきビジネスのスキル

○内 容:

(1)講義のねらい
職種や業界を問わず、働く場所や社会環境が変わっても、それまでのキャリアが無にならない能力(普遍的能力)について講義します。ビジネススクールで教えるような難しいスキルや資格を身につける前に、大学生のうちから磨いておける「切り拓くスキル」を高める有効性と重要性をお伝えします。
(2)講義の概要
1.シゴトの世界とはどんなイメージか
2.自己分析はシゴトの役に立つ?
3.職種や業界を問わずオススメしたい「切り拓く」ための3つのスキル
4.今日からできる!「切り拓くスキル」の鍛え方
5.まとめ

  • 講師紹介

平成8年に企業法学科卒業後、丸紅エネルギー株式会社に入社。平成16年にゲームメーカーのテクモ株式会社へ転職。平成18年、株式会社リクルートマネージメントソリューションズへ転職の後、平成25年に退職し、独立。「かもめソリューションズ」代表となり、現在に至る。

 

3社を転職し、現在の会社を設立するまで

 

私は、資格を持っていないし語学もできませんが、身体ひとつで上場企業を3つ渡り歩きました。

大学卒業後は、エネルギー系の総合商社に入り、石油を輸入したりガソリンスタンドを経営する子会社を設立する仕事をしていました。ゲームが好きだったこともあり、20代の終わりにゲーム会社に転職しました。そこでは、東京ゲームショーなどで企業ブースを企画したり、ゲームキャラクターのフィギュアをデザインする仕事などを行いました。その後、3社目となるリクルートの人材育成部門に転職し、コンサルタントとして働くなかで、人材育成のマネージメントなどを勉強させてもらいました。

しかし、大手の企業にいると、おのずと取引先も大企業が多くなり、生まれも育ちも北海道の私は、「学んだことを、もっと北海道の方に伝えたい。北海道の人の働く力を高めていきたい」と思うようになり、「かもめソリューションズ」を設立しました。部下が育たないけれどどうしたらいいか、営業マンとして業績を上げるためには、などの相談にのりながら企業研修を行い、官公庁や定時制の高校でキャリア教育の話もしています。

ここまで聞くとカッコよく聞こえるかもしれませんが、勢いで転職したことで、反省したり落ち込んだりすることのほうが多かったと思います。今日は、そのような経験の中から、みなさんにとってこれは覚えておいたほうがいいという話をしたいと思います。

 

約20年社会で生きてきた経験から

 

(ゲーム「モンスターハンター」の画像を見せながら)社会とはこんな感じです。いきなり一人取り残されて、とにかく高い崖の上を目指せと言われるわけです(笑)。しかも、いきなりモンスターが襲って来ることもあります。私の考える社会は、まさにこの画像の通り「果てしなく広がる、100%不条理な世界」です。また、モンスターが目の前にいるのと同じく、あきらめたら終わりで次の仕事は回って来ません。そして、一人で完結する仕事というのはありません。システム開発やデザイナーなども、結局はチームワークが重要でいろいろな人と関わりながら仕事をします。企画力、デザイン力などを生かした仕事をしたいと話す方もいますが、そういう仕事でも、短期的には「非常に地味な仕事の積み重ね」です。

 

学生時代の自己分析は役に立たない

 

私は、「自己分析とは、就職活動で学生が過度に重視している場合がある。こじらせると社会に出た後にいろいろと面倒なことになる」と思っています。

養老孟司さんが「仕事というのは、社会にあいた穴である。道の穴をそのまま放っておくと、誰かが転んで困るからそこを埋める。とにかく目の前の穴を埋めるのが仕事というものであって、自分に合った穴があいているはずがない」とおっしゃっていて、まさにその通りだと思います。

若い人の中には、「僕は星形なんです」「三角の穴がどこかにあいていませんか」と言う人がいますが、自分にあった穴はあいていません。自己分析自体はいいと思いますが、それは雇ってくれる人やお客様に「私はこういう人間です」と知ってもらうための手段であって、自分のやりたいことを探すための手段ではありません。もし、仮に自己分析を通じてやりたいことが見つかったとしても、企業側はやらせてくれません。

人間の本性は極限状態で垣間見れます。さっきも言った通り、社会は不条理ですので、あっという間に限界に追い込まれます。そういう状況になった時に、自分はどういう人間かがようやく見えてきます。

自分のことを自分の頭だけで考えることはできないし、学生のうちに自己分析してもこじらせるだけ。面接などで自己分析を語ったとしても、「思考が固い」「経験値が低いのに情報収集能力が乏しい」と思われてしまうでしょう。

 

 

自分で道を切り拓くスキル①~ルールを探る力

 

社会での仕事はどのように工夫することもできるし、自由選択肢が増えて戸惑うこともあるでしょう。

たとえば「会議の資料作っておいて」と言われてどう作ったらいいか聞いても、「自分なりに考えてやってみて」という感じです。一般的なひな形通りに作っても、その会社に当てはまるとは限りません。

ゲームの世界に例えると、その世界に放り込まれた時に、「ここでの勝ち方はなんだろう?」と必勝方法を探ることです。今、業績を上げている人はどういうルールを大事にしているのか、どんなコツをつかんでいるのか、ということを探るんです。また、先達の知恵や定石というものは、先輩たちが苦労して編み出した仕事のルールですから、ないがしろにしてはいけません。知っているのと知らないのとでは大違いです。

また、与えられた仕事の目的を知ることも大事です。たとえばコピーを頼まれた時、「何のために使うのか」を知っておけば、同じコピーの仕事でも優先順位は変わってきます。

 

②とりあえずやってみる力

 

社会に出た瞬間は、誰でも基本的に未熟者です。しかし、社会ではギリギリの選択を迫られることも多いのが事実です。

電話に出るのが苦手という方にとっては、電話に出る行為だけでもギリギリの選択と感じるでしょうが、そこで立ちすくめば「使えない」と思われ、どんどんと自分の評価を下げてしまいます。

そこで、まず動く「とりあえずやってみる力」を持ってください。その際、自分の中で選択肢を持つことが大事です。電話であれば、「すぐ取るのか」「一呼吸おいてから取るのか」など、それぞれメリット、デメリットがあります。とりあえずやってみて失敗したら、そこから学ぶ。

また、失敗からだけではなく、成功からも学んでください。日本人は成功しても「運がよかったから」と済ませがちですが、なぜ成功できたかを考えないと次も同じように成功できません。人の前で偉そうに言うのではなく、自分の成功を振り返ってください。振り返るには、とりあえずやってみなければなりません。

 

どうやったら楽しくなるかを考える

 

ゆとり世代の若者は、やはりメンタルが弱いと思われています。その中で、若手なのに「どんな状況でも楽しめます」というメンタルの強い人は、非常にポイントが高いです。

私もかつて、営業の目標をこなせないまま期末が近づき、苦境に追い込まれた時に、「でも、ここで逆転したら俺すごいよな」と考え、逆転勝利した時のコメントまで考えていたら「よし頑張ろう」と思えました。単に耐え続けるのではなく、逆転の発想でこの苦境をどう楽しむか、ということです。

学生時代に自己分析は必要ないと話しましたが、社会に出て「こういう仕事をしてみたい」「あの先輩みたくなりたい」などの「したい」という志向があると、今与えられている自分の仕事にプラスして、役割は増えていくでしょう。そうすると、出来ることが増えてきます。すべきことだけをやっていたのでは、すぐに成長限界が来るけれど、これをやりたいと思うことがある人は、自ら限界を引き上げ、仕事の質も上げて、どんどん成長していきます。

 

 

学生時代の、今からでもできること

 

たとえば、吉野家は業界のなかで一番最初に牛丼の値上げをしたのに、つぶれていません。それはなぜなのか?など、「ルール」を探ってみることが大事です。自分が知らない世の中の仕組みやルールを探り、考えてみるんです。また、「とりあえずやってみる」のも、学生時代にできることです。今どんな選択肢があって、何を選ぶのか。何も考えず惰性に流されてやっていても、残念ながら「やってみる力」は身に付きません。自分の中で選択肢をきちんと設定して、それを選んでいくことで力は身に付いていきます。逆に、惰性で参加している会合に参加しないという「やめてみる力」も大事です。あとは、「どうやったら楽しくなるか」を考えてください。読まなければいけないのに読みたくない本を、どうやったら楽しんで読めるか考えてみるんです。

 

やるか、やらないかの大きな差

 

今日聞いた話を、実際にやってみる人とやらない人には大きな差が出ます。「泳げるようになってから、水に入ります」という人はいませんよね? 泳げるようようになるには、水に入らなければなりません。今日話したすべてのことをやる必要はありませんが、週に一度、1つでも試してみてください。結局、実践の頻度がモノを言います。「わかる」と「できる」、「できる」と「やっている」には、それぞれ10倍の差があります。ということは、「わかっているけどやらない人」と「実際にやっている人」には100倍の差があるわけです。1つでも続けていくということがスキルを高めていく方法であり、やり続けて10年たつと必ず自分の役にたちます。事前のアンケートに「スキルを獲得したい」と書いている方がいましたが、スキルは資格と違い、獲得するものではなく磨き続けるものです。どうか、始めて、続けて、磨き続けてください。

 

質問から抜粋

 

2年生男子

 

Q 若い時にいい仕事に就けば、転職したいという人は少ないと思いますが、なぜ三上さんは3回も転職なさったのですか。

 

A 1社目は上司が嫌いだったからです(笑)。2社目は身体が壊れると思って辞めました。3社目は、40歳を前にして「最近、自分は挑戦していないな」と感じ、独立することで自分を試したいと思いました。

 

Q スキルを磨き続けるために、転職を繰り返したということですか?

 

A 全く違います(笑) 直情的に辞めてしまいましたが、転職した先で一から積み上げていったり、飛び込んだ環境でなんとかやっていく中で、振り返ってみたらスキルは磨かれていったと思います。

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