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伊東 浩 | 平成10年 |
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以上、いろいろ書いてきましたが、これを読んでくれた人に少しでも役立ってくれれば、幸いです。
僕は商大に6年間在籍し、そのうち3年目と5年目には海外留学も経験しました。そして、僕が司法試験合格を目指そうと明確に決意したのは3年目の留学から帰国したときでした。
帰国すると僕は3年生として改めて大学生活を始めたのですが、僕の友人の多くは4年生であり、就職活動に追われる毎日を過ごしていました。近年よりはまだましでしたが、氷河期の始まりでもあり、とても大変そうでした。僕はそんな友人たちの姿を見て、自分が将来、会社人間や役人になってしまうと、夢や自由が限定されてしまい、自分自身で漠然と描いていた将来の自分像に近づけないと思いました。そして、夢や自由を限定されないためには、司法試験に合格して、弁護士として活躍するのが一番望ましい方法ではないかと考えました。そこで、僕は自由人になるために司法試験が一体どういうものなのかを調べてみると、合格率が3%弱という極めて厳しい試験であることを知ってしまいました。それと同時に、合格者数が段階的に増えるだろうということも知りました。そのとき、僕が思ったことは、今すぐ勉強を始めてもこの厳しい試験に合格するのは難しそうだということと、まだ大学生として遊んでいたいということでした。そこで、僕は合格者数が早く増えることを期待しつつ、大学5年目を休学し、2度目の留学をすることにしました。この留学で知り合った多くの友人は、その後、僕の厳しい勉強生活を応援してくれる親友になり、今でも親密な付き合いをしています。消極的な理由に基づく留学でしたが、多くの親友と巡り合えたことは、僕の人生にとってかけがえのないことなので、留学自体は大成功だったと思います。
帰国後、僕は4年生になったのですが、もう司法試験に突入する覚悟は出来ていたので、早々と卒業に必要な単位を取り、かつ、司法試験の学費を捻出するためのアルバイトに励むことにしました。そして、卒業後、それまでのアルバイトを続けながら、札幌の予備校に通い始めました。この時期はとても忙しく大変でした。
まず、勉強方法についてですが、具体的な勉強方法は個人によって大きく異なりますので、ここで言及するのは控えたいと思います。ただ、具体的な勉強方法に関わらずに、僕が言えることは、「司法試験は受かるか受からないかの試験ではなく、いつ受かるのかという試験」だということです。つまり、自分に適した勉強方法を見つけてしまえば、早期合格をすることは十分可能な試験である反面、たとえどんなにまじめに勉強していても、勉強方法を間違ってしまえば、とてつもなく長い時間がかかってしまう怖い試験でもあるのです。実際、全国的に知名度の高い大学の法学部を卒業した人でも合格するまでにある程度、長い年月を要した人もいれば、逆に全国的には知名度の低い大学出身でも、早期合格を果たす人もいるのです。これは、勉強方法の選択が早期合格にとって、とても重要であることを示している1つの例だと言えるでしょう。