ポスターセッションの実施例
ポスターセッションは,壁またはホワイトボードなどに,図表やキーワードを書いたA4の紙を10枚から20枚程度,並べて張り出しお客さんが自分の報告の前にたつたびに適宜説明を行うという報告形式です。
- 報告者と聞き手の距離が近く,気楽に質問しやすい。
- 少人数かつ時間の制約が遙かに緩いので,議論を発展させやすい。
- 互いに顔を覚えてもらいやすいので,大学院生が顔を売り込みやすい。セッション時間以外でもポスターを貼りだしておけば,続けて見ることが出来るし,暇なときに報告者を見つけて説明してもらうこともできる。
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- ホワイト・ボートなどの上にA4程度の大きさにの紙に報告のための図表,簡単な見出し,キーワードを書いて張り出します。このときあまりたくさん詰めて張り出しても,見づらくしかも報告自体が長々と続くことは避けた方がいいでしょう。だいたい,ホワイトボード一枚に,20枚程度が限度でしょうか。
- (1)図には見る順番を示した番号を振っておくと,報告者がいないときにも理解しやすいので親切です。
(2)ポスターの前を離れたいときには,発表者が「説明開始
1:30, 2:00, 2:30 」とか書いて貼っておくといいでしょう。
(3)さりげなく名刺などをおいておくと,自分の宣伝にもなります。
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- 報告者は,観客,一人,二人と興味をもってよってきたら,自分の研究内容の報告を始めます。実際の発表の場ですが、ポスターの横で立ってて、「これはどんな話かな?」と興味を持った人が来たら、「ご説明いたしましょうか?」と聞いて説明を始める、という感じです。
基本的に,質問者はわからないことや疑問に思う事があるたびに,質問をしてもいいことになっています。特に進化経済学会の場合,参加者の研究領域が広いので,質問者のどんな初歩的な質問にも報告者は,答える必要があります。
- 報告だけだと10分か15分ぐらいにまとめる方が適当ですが,途中で質問や議論がはいると,30分ぐらいは一回の説明にかかるようです。
- これを人が来るたびに繰り返します。
- ポスターの説明を2〜3時間やり続けるのは大変かもしれませんが、ポスター発表者も他の発表を聞きたいということが普通ですし、説明のインターバルで休みもするでしょうから、実際にポスターの前で説明している時間は半分強くらいになるのが実情です。
質問・議論が活発な良いポスターだと、1回の説明に30分くらいはかかるものなので、そうすると、3回くらいしか説明できなくなります。
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基本的に学会報告にフリーディスカッションをくっつけたようなものですが,むしろ形式張らずに,学会のフリーマーケットのようなのりでやることがポイントです。単に人に自分のやっていることを知ってもらう,ということだけが目的ではなく,自分のやっていることに他人からもいろいろアドバイスをもらって研究の参考に,また議論をすることで人間関係の輪を増やすことを大事にするとうまくいくようです。
すでにポスターセッションを実施している分野のみなさんのお話だと,セッションでの議論が,その後の食事の間や,学会終了後も継続されることが多々あるとのことです。そういった形になるのがいっしゅ理想ですが,通常の報告に比べて,議論を楽しむ余裕を持った方がかえってうまくいくようです。
ポスターセッションがうまく行くかどうかは一重に主催者側のセッティング,特に時間の配分にあるようです。
- ポスター・セッションの日とか、午後3時からはずっとポスター・セッションとかにして余裕をもたせたほうが良く、オーラル・セッションの合間とかにはしてはいけませんし、間違っても昼食時などは避けるべきでしょう。
- ポスタープレビューの時間を設けるととてもよいでしょう。一人1分、OHP1枚という制限で、ポスターセッションで発表する内容を話してもらいます。ポスター発表で興味のあるのを全て聞くことは、当然不可能なので、聞きに行く側がどれを優先させるかの判断がしやすいです。面白いのは、たった1分でも、あるいは1分だからなのか、いいのとそうでないのは判断がつきます。
- 会場、ポスターを張り出すためのパネルの確保もけっこう難しいので、それがどの程度できるのかを調べておいた方がいいでしょう。長机を二つ合わせて大きな紙をはり、その上にポスターをはって、横置きポスターというのもあります。
- もっとも理想的な例でいいますと,一日まるまるポスターセッションに割り当てられて、会場で一度に20人ポスターを貼り出せる場合、セッションを午前午後の2回はできますので、40人発表できて、
9:00 - 9:40 プレビュー
9:40 - 10:00 ポスター準備
10:00 - 13:00 ポスター・セッション (1)
13:00 - 14:30 昼休み & ポスター準備
14:30- 17:30 ポスター・セッション (2)
という感じでしょうか。こうしておくと、ポスターで話し足りないところを昼食時、呑み時につっこめます。もっとも,これは学会や研究会の日程と方針に縛られますのであくまで「理想」ということです(理科系の研究会には,ポスターセッションのみという研究会もあります)。
- できればずっと貼りっぱなしにできる会場を確保して、暇なときに発表者を連れて行って説明してもらう、ということができればなお良いようです。
- ポスターパネルの大きさ、「縦1.8m x 横0.9m」 といった情報は、事前に発表申し込みをする/した人に伝えないといけません。これはオーラルセッションの報告時間に当たるものです。
文責,作成:江頭進(小樽商科大学)egashira@res.otaru-uc.ac.jp
Special thanks:evoneconon
Fri, 14 May 1999 15:33:44